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活字中毒R。
by じっぽ
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■塀の中の「世界に一つだけの花」
 実は「再デビュー」のあとの槙原さんの歌は、それまでの「ほのぼの系のプライベートな恋愛ソング」から、いささかメッセージ性が強くなってしまったような気がして、僕はあまり好きではなかったのです。でも、その「変化」の陰には、これだけのさまざまな「きっかけ」があったのですね。あらためて考えると、あの事件の直前の槙原さんは、表面上「成功」していても、自分の居場所を失っていたのかもしれません。
 再デビュー後も、いろいろな偏見(というか、「先入観」というべきでしょうね)にさらされ、バッシングを受けたにもかかわらず、こうして立ち上がった槙原敬之。僕も最初は、「またノコノコと『復活』してきやがって…」という気持ちだったのですが、それでも歌い続ける彼の姿には、なんだか、感動すら覚えてきたのです。「ああ、いろいろあったのに、負けずに頑張っているんだな」って。
 「世界に一つだけの花」に関して、槙原さんは、こんなふうに話しています。
 【僕が歌っていたら、こんなに売れなかったと思うんです。僕はいろいろあったし、偏見という目を感じるときだったと思うんですけど。自分という人間が歌うことで、この(曲の)考え方が汚いものだと思われるのは、耐えられない。そういう意味では、清潔感があって人気者のSMAPに歌ってもらえれば、聞こうと思ってくれる人がいっぱいいるだろうと思って。親に言われたらむかついて聞けないようなことでも、大好きな人から言われると『そうだね』って思える感じで、歌ってくれるだろうと。願いをこめて託しまし」。】

 あの「事件」がなければ、「世界に一つだけの花」は、「歌い継がれる名曲」として世に出ることはなかったのかもしれません。そういう「アーティストとしての幸運」は、「人間としての苦悩」の上に成り立っているのだとしても、「ナンバーワンよりオンリーワン」というフレーズが小学生にも届いたあの曲は、「人間・槙原敬之」にとっての、ひとつの「克服」でもあったのでしょうね。

10月25日(火)
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