ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10028046hit]

■「歴史のあの瞬間、原爆は必要だった」
 たぶん、そんなはずはない、そう信じたいけれど、僕個人、いや、現在生きている人たちにとっては、そういう側面があるのも否定できません。もし原爆投下がなければ、戦争終結までに原爆の犠牲者以上の人が命を落としたかどうかはわからない。でも、少なくとも、今、僕はこうして生きている。

 本当に耳を傾けるべきなのは、「死者の声」でなければならないはずです。生き残った人たちにとては、少しずつでも「過去」になっていくことでも、それで命を失ってしまった人たちにとっては、あの一瞬ですべてが止まって、終わってしまったのだから。
 原爆の犠牲になった人たちには、「戦争」という非常事態の中にあったとしても、今の僕たちと同じような夏の、戦時下なりの「日常」を過ごしていただけなのに。
 エノラ・ゲイの搭乗員たちを責めても仕方ないとは、僕も思うのです。彼らは一兵士だったのだし、彼らが人道的な理由でこの任務を拒否したとしても、他の兵士がそれをやっただけのことだろうから。そして、彼らだって、あの光景を目にして、何も感じなかったとは思えないけれど、自分や家族を守るため、という自衛の気持ちだってあったはずです。現場の兵士にとっては、「自分が死ぬかもしれない、人道的な兵器」よりも「自分は安全な、非人道的な兵器」のほうが、好ましい場合だってあるでしょう。戦争はオリンピックじゃありませんから。「日本がどうせ負ける」とは認識していても、戦争が終わるまでに、自分が死ぬリスクは少なくしたいはずだし。

 「歴史のあの瞬間、原爆は必要だった。我々は後悔していない」
 今の僕には、正直「あの瞬間」に原爆が必要なかった、と言い切る自信はないのです。
 でも、今、この瞬間、2005年8月6日、世界に核兵器が必要だとは、僕には思えない。少なくとも、原爆の犠牲者になった方々は、人類にそれを教えてくれたはずなのに……

08月06日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る