ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「学歴過少申告」と「逆差別」と「職業選択の自由」
 この件に関しては、「大学や短大を出ていたら、バスの運転手として何か不都合があるのか?」と疑問に思う人もいるでしょうし、「大学まで出ているんだったら、ただでさえ仕事がない状況なのだし、わざわざ『バスの運転手』という技術的な資格は必要だけど学歴とはあまり関係のない仕事をしなくてもいいじゃないか」という人がいるのは、当然のことだと思います。そして、どちらが正しい、という問題でもなさそうです。県の職員には、これとは逆に「大卒以上」なんていう条件がある職種だってあるのでしょうし、大卒じゃないと管理職になれない、なんていう「お約束」がある部署だって存在するはずです。そう考えたら、このくらいの「逆学歴差別」があっても仕方がないのかなあ、とも思えるのです。いやまあ、「それなら、大学に行けばよかったじゃないか!」とか言う人もいるんでしょうけど。
 ただ、「バスの運転手なんて、高学歴の人間がする仕事じゃないだろう!」というのはちょっとヘンな気もしますし、大卒だって、バスの運転手という仕事をしたい人がいるというのも理解できます。その一方で、この仕事を中・高卒者の雇用枠にしたい、という県側の立場もよくわかるのです。東大の先生が「職業選択の自由」と言ってみたところで、現実には、「自由に職業を選択できる」なんて立場の人はごく一握りなわけですから、誰だって、より条件が良くて、自分の希望に沿ったところで働きたいと思うはずです。そういう意味では、今回懲戒免職になってしまった3人は、「公のために犠牲になった」という面もあるんですよね。本来は、この記事にあるように、資格規定そのものがおかしいから、それを変えさせることが大事なのだろうけど、実際に自分が仕事を探している人間だとしたら、そんな悠長なバトルに身を任せているヒマなんてないだろうし、「学歴詐称」をしてでも、職を得たいというのは、けっして異常ではなさそうな気がします。実際より高学歴に見せかけるのは大変だろうけど、最終学歴が大学卒の人が高卒のフリをするには、出身高校で卒業証明書を貰って、大学に行ったことを履歴書で隠しておけばいいわけですから、調べる側が「性善説」に基づいていれば、「実は大卒だった」なんて、まずわからないのではないでしょうか?そういう意味では、試験官もとんだとばっちりを受けてしまった、と言えるかもしれませんね。

 それにしてもこの件でいちばん考えさせられたのは、最初に発覚した運転手の学歴については、誰かから「通報」があった、ということです。それも、本人の学歴を知っている人ですから、かなり近い人だったはずです。そういう「悪意」(密告した側は「正義の行使」のつもりだったとしても)について考えはじめると、正直、怖いな、とも思えてくるのです。少なくとも、運転手が解雇されても、この通報者が直接の利益を受ける可能性はないだろうに。
 もちろん、「嘘をつくこと」は悪いことなのですが……

 でも、本当にこれは、ある意味悲劇的なことですよね。解雇された人たちは、バスの運転手になりたくて大学に行ったわけではないのだろうし、景気が良くて仕事が有り余っている時代であれば、こんな諍いは起こらなかったような気もしますし。なんだか、「学歴社会への不満」を大卒・短大卒者の代表としてぶつけられてしまったみたいで、ちょっと不憫でもあるのです。

 しかし、このバスの運転手って、どういう基準で採用しているんだろう?まさか、「他所では採用してくれないような人」を優先的に雇用している、というわけでもないだろうしなあ。交通機関の運転手って、人の命を預かっているんだしねえ。

01月31日(月)
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