ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「発明対価」をめぐる仁義無き戦い
 その一方で、例えば簡単な実験をするにしても、企業の研究室であれば、研究のサポートをしてくれる人や、器材を用意してくれる人などがいるわけで、コストも企業が負担していたのでしょうし、中村教授が自宅でひとり引きこもって出した成果でもないのだから、この人ひとりだけが「対価」を受け取るのはどうなのか?とも思っていました。その「青色ダイオード研究開発チーム」そのものが、会社に対して対価を求めたのであれば、僕はもっと好感を持てたのかもしれません。そういうのは、いかにも「プロジェクトX」的というか、日本人好みではありますが。

 中村教授が発明した「青色LED」というのを僕が知ったのは、たぶんパチンコの雑誌だったと思います。【それまで盤面の電飾には青色の光が使えなかったのだけれど、最近の研究の結果青色のダイオードができた。でも、まだその青色のダイオードは、他の色のものに比べて1個が10倍くらいの価格がする】というような話でした。僕はそのとき、「青いバラも不可能なんて言われているから、青という色は、人間にとって再現するのが難しい色なのかもしれないな、と思った記憶があります。最近では、僕が考えるような「青」とはちょっと違うのですが、「青いバラ」も開発されたみたいなんですけどね。
 そういえば、最近信号機が本当に「青」になったのは、この青色ダイオードのおかげなのだそうです。

 しかし、一晩経って考えると、中村教授御本人のキャラクターへの好みはさておき、今回の訴訟が研究者にもたらしたものは、けっして少なくないとも思います。そもそも、中村教授が最初に受け取った「報奨金」は、わずか2万円だったそうで、その研究の成果がもたらした利益を考えれば、あまりに低すぎる評価だと感じたのはまちがいないでしょう。たぶん、僕が同じ立場でも怒ります。
 しかし、昨日観たテレビ番組では、ハードディスク内蔵DVDを開発した人は、その電器メーカーの社長よりも高い給料をもらっているのだそうです。もちろん、日本の企業の社長基準ですから、そんなビックリするような金額ではないとしても、「成功報酬」という面では、かなり変わってきているのでしょう。僕が中学生のころ、ファミコンが大ヒットしていた任天堂は、社員のボーナスが36か月分(!)と言われていましたから、こういうのは、一概に「日本企業は渋い」と言えないのかもしれないし。ただ、アメリカのように「一攫千金」というケースはないのは確かみたいです。
 「企業にとって、社員は駒」という意識に対して、200億円という強大なアンチテーゼを突きつけたという点では、やはり、この訴訟はものすごく意味がありそうです。僕は正直「個人に200億円も払ったら、日亜化学工業は潰れるのではないだろうか?」とか心配したくらいですから。実際に潰れはしないまでも、こんな訴訟を起こされるのは企業にとっても大ダメージでしょうから、優秀な技術者が大事にされるようになるきっかけには、なっていると思います。

 小川社長の【自らも技術者出身らしく「ほとんどの技術者は仕事に興味を持ち、技術的成果に喜びや楽しみを感じている。単純に金銭に置き換える人はそうはいない」と中村氏を意識してか、強い口調で言い切った。】というコメントも、会社のトップとしての発言であると同時に、僕もこういう「技術者」というのがたくさんいて、日本企業の開発力を支えているのだということもわかるのです。僕の周りにも、そういう人はけっこういますから。

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01月13日(木)
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