ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6105,閑話小題 〜夕陽は‘日の名残り’色
* 「夕景の美しさ」について
カズオイシグロの『日の名残り』で、
<夕方がいちばんいい。わしはそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。
夕方が一日で一番いい時間だって言うよ。>の言葉が印象的だった。
暗闇色の漆黒と残照の赤褐色の色合いが、生と死、そのままを現している。
夕景といえば、世界各地の日没の輝きを目の当たりにしてきた。
その感激と感動そのままを描写した幾つかの文章と、夕映えの写真も数多く
見てきた。 学生時代に読んだ船舶王・オナシスの自伝に一場面。
死期を悟ったオナシスが、ギリシャのエーゲ海にある故郷で、夕景の中、
幼馴染と酒を飲みながら昔を偲び邂逅し、涙ながらに踊る場面が今でも強く
心に残っている。最期は、愛人のマリヤカラスでなく、妻のジャクリーン
でもなく、幼馴染との魂の邂逅に涙を流す…
エーゲ海の夕景といば、サントリー二島と、ミコノス島の夕景が絶品。
夕陽が大自然自身の魂そのものを写しだす瞬間である。魂の故郷とは、
『幼児期の想い出』と『両親の温みの感触の想い出』である。
夕陽の詩では、八木重吉の詩が良い!
ゆう焼をあび 手をふり 手をふり 胸には ちさい夢をとぼし
手をにぎりあわせてふりながら このゆうやけをあびていたいよ
〜『夕焼』より
あの夕焼のしたに 妻や桃子たちも待っているだろうと
明るんだ道をたのしく帰ってきた 〜『夕焼』より
ゆうぐれの陽のなかを 三人の児が ななめの畑をのぼってゆく
みていれば なきたい 〜『ことば』より
私は、友が無くては、耐へられぬのです。しかし、私には、ありません。
この貧しい詩を、これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。そして、
私を、あなたの友にしてください。 〜『「序」秋の瞳』より
☆ 孤独の際から叫び出ている愛と孤独の絶叫の詩。 夕景は切ない!
死と生の刹那そのままが、景色に反射するからである。八木重吉だったか、
は忘れ、かつ不正確だが、
<夕陽に向かって手が千切れるほど いつまでも手をふっていたいよ>
の詩が頭によぎる。
【 みじめなということは低きところにおる人ではなくて、
進むことのできなくなった人です。 〜(八木重吉) 】
…それでも這ってでも進まなければならない時が、人生に何度もある…
それも、夕暮れ時には、身につまされる言葉。
・・・・・・
2016年11月30日(水)
5738,閑話小題 〜2016/11/30 今年も、あと
* つれづれに年末
☆ 今年も、あと一月になるが、早いもの。リタイア直後にたてた
スケジュールそのまま、毎日を過ごしている。毎週金曜日のシネマ通いは、
これまで3週、休んだだけで合計44回、通っていた。一週だけ二日続け
行ったこともあった。2年に1回あるかなしかの百点評価はなかったが、
95点が2つあった。あと残り5週あるが・・
☆ ニュースとしては、英国のEU離脱と、米国のトランプが大統領選で勝利。
これは日本、アメリカ、世界各国にとっての大転換を意味する歴史的一大事。
アメリカがグローバル化政策を止める決断をしたことになり、欧米の凋落の
道標になる。 それに勢いづいた欧州のテロは、とまることなく続く。
☆ 体調は、すこぶる元気。サントリーの販売戦略に乗せられ、「セサミンEX」
「ロコモア」を常用するようになった。これが体調にプラスに働いている。
両方とも、一日の目安の半分にして合わせ飲んでいる。腰痛も、腰痛ベルト
を新調したことと、夜半の寝返りを意識的にしていることもあって調子がよい。
何はともあれ、無事健康が一番。
☆ この随想日記も5700のテーマを超えている。時どきスランプになるが、
精神のバランスを保つプラス要素になっている。
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11月30日(木)
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