ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5992,閑話小題 〜最後の講義・12 ー石黒浩:対談
* 人の感情を推し量ることからの開放
大人数の家族の末っ子として育ったこともあり、周囲に気を使い過ぎる
きらいがある。 SJでも、軽い会釈か、挨拶さえしないで独り、無言で、
イージーライン、ヨガ、ウォーキングマシン、マッサージのコースを大よそ、
2時間、熟している。メンバーをみると、3分の2が独行で、残りが2〜3人で
談笑しながら過ごす。対話の話題には、こと欠かないが、日常会話は苦手。
どうしても口が重くなってしまう。 まずは、何気なく褒めれば良いのは
分かってはいるが… 表情を最小にしたロボットが、思いの外、重宝して
いるようだ。無表情な部分を人は、想像でカバーしているようだ。無口で、
無表情の人に何やら魅かれるのは、そのせいである。
――
<石黒>
アンドロイドの研究を行ってきた結果、最終的に行きついたのが、
「人の存在をどうやったら表現できるか」、「その条件は何か」ということ。
人間の脳は、「見る」と「聞く」を足し合わせて、1+1の2で認識すると
思われがちですが、実は、2つ情報が重なったときに、4とか5に反応する
しくみになっています。その結果、「知っている」という状態になるのです。
ハグビーの場合も2つの情報は「声」と「触感」です。
人間そっくりのアンドロイドをつくって分かったことは、人間は大事では
ない要素を引き算して認識するということです。さらに、あるところまで行き
つくと人間は相手のことを想像でカバーし始めます。テレノイドが受け入れ
られるのは、人間は、「誰かはっきり認識できる相手に話しにくいこともある」
という性質があるからです。後期高齢者や認知症の人は、人に対して申し訳
ないといった感情から、話ができなくなっています。ところがテレノイドに
対しては、自分の記憶の中で適当な想像を働かせながら話すことができます。
<本荘>
それは面白いですね。リアルな人間よりも、テレノイドに対しては、人間に
対する遠慮のような感情が湧かなくなるから、ピュアに受け入れられるのですね。
<石黒>
人間は相手のことを推察しますが、相手の感情を直接見ることができるわけ
ではない。すべて自分の想像の産物です。ネガティブな想像をはじめれば、
とことんネガティブになってしまう。ところが、ロボットだと分かっていれば、
ネガティブな想像をしなくなります。 私たちが行った実験では、高齢者、
認知症の人、自閉症の子ども、みんなロボットが大好きです。
今の社会では、人の感情などを推し量る必要があるため、そこで問題が起きる
ことが多いのです。もちろんロボットで全ての問題が解決できるわけではあり
ませんが、少なくとも治療の手段にはなります。ロボットを使用してある程度
話せるようになれば、人間を相手にして話す、といった活用です。 既に、
自閉症専門病院では、小型のコミュニケーションロボットであるCommUが使われ
ています。精神障がいの女の子の例ですが、大ゲンカをする嫌いな相手の女の子
がいるのですが、嫌いな理由は一切医師には言わない。しかしCommUにはすべて
話すのです。CommUを通じて、次は相手の女の子と話すことを約束した結果、
普通に話すことができて、関係を回復させることができました。
心に引っかかっている、ちょっとした何かを取り除く助けになるかもしれない。
それがロボットの可能性です。
<本荘>
認知症や精神障がい以外にも、ロボットは、転職や職探しのケースで効果がある
と聞きましたが。
<石黒>
ジョブカウンセリングも同様、人間のカウンセラーだと遠慮して言えないこと
があります。遠隔操作のロボットであるとわかっていれば、心を開きやすい傾向
があります。マツコロイドのお悩み相談は何度もやりましたが、相談者は素直に
話してくれます。落ち着いて緊張することなく、論理的に話せるのが特徴です。
――
▼ スマートフォンの普及で、仲間同士がネットで繋がりを持つことが可能に
なった昨今、ブログが、感情の吐きだしとして有効に働くことになる。
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08月11日(金)
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