ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5943,閑話小題 〜美しさとは何ですか
浜三枝の著書『孤独って素敵なこと』で、今は亡き「松本民芸家具」
の創始者である池田三四郎先生の思いでを次のように述べている。
≪ 箱根の家が完成したときに、池田先生を招いた時の質問。「美しいという
ことは、どういうことでしょうか?」に、
「一本のねぎにも、一本の大根にも、この世の自然の創造物のどんなものにも
美があるんだ。問題は、人間がそれを美しいと感じる心を身体で会得している
かどうかなんだ。私は毎日、散歩をしながら、道端の草や花や、すれ違う動物
や昆虫とも話をしているんだよ。暮らしの身の回りにいる者たち、そこにある
物の、あるがままの美しさを感じる心が大切なんだよ。」そして、
「ひたすら道具や器を、そして自然を見て学びなさい」と、
「民芸で一番大きいのが家だ」とも。
その池田先生より、届けられたのが朱色の根来塗の燭台と、小さなガラス絵。
囲炉裏の部屋にこの燭台を置くと、箱根の家の印象が明るくなりました。
ガラス絵を柱に飾ると、優しい雰囲気が家に加わりました。 こんなに家に
ぴったりするものをよく選んでくださったと、その審美眼に改めてほれぼれと
感動し、また美意識が一緒だと嬉しく思いました。≫
また<浜美枝ダイアリー>の中で、
≪「人間が自己の力を過度に評価し、科学を過信し、一切を知性によって合理的
に究め得ると錯覚した時代は、その後の日本が歩いた道であった。自然に対する
人間の勝利とは虚妄の勝利であったのではないか。近代精神のもたらしたものは
人間の傲慢であった。その傲慢さの故に、自己の創った科学文明のために自分
自身が復讐されつつあるとは言えないか…」と。
―
▼ 「美とは何か?」を考えると、まずはバランス。それも、エネルギーの
満ちたバランス。そして、それを感じとる感受性。その感受性は、感動、
感激の重なりから熟成していく。だから幼児の頃から、道具、器、自然の美に
ことあるごとに触れて、感受性を育む必要がある。それには、親が幼児期から、
それに触れる機会を与える義務がある。小学生までの学力は、家庭内の文化的
格差によって左右される。例えば、「読書好きの親を持つ子どもは、本が好きに
なりやすい」「親が医者だと子どもも医者になる確率が高い」とか、「茶道や
お花の先生をしている親の子は、礼儀作法が身についている。これらは家庭内
の文化資本による。 ウィキペディアによると、文化資本とは、
「金銭によるもの以外の、学歴や文化的素養といった個人的資産を指す。」
要するに、血筋、家系が大きく人間の素質に左右される。そのカタチが、個性
ということになる。成るほど、そういうこと。無暗に人を評価しないことだ。
で、いま思いついたのが、「民芸で一番面白いのが、生身の人の姿・形だ」
・・・・・・
5578,突然、余命宣告を受けました ーF
2016年06月23日(木)
『あの世へ逝く力』小林玖仁男著
* 死にゆくとき、心は不安から解き放たれる
死に際も不安だが、死期を悟った後の心の葛藤と肉体的苦痛も最重大事。
それまで生きた分の人生を圧縮して生きるというから、生易しくはない。
<もう少し生きたい>のが、万人の願いだが、<もう、いい加減、死にたい>
人も当然いる。「死にたくない」には、人生に遣り残したことがあるため。
充分に人生の元をとった実感があるだけ、救いがあるが、やはり長生きを
しなくては。歳を重ねるたび、『もの、金銭』より、『こと、行蔵』に、そうそう、
移動していたことに安堵する。 〜その辺りより〜
≪ 以前、NHKスペシャルで立花隆思索ドキュメント「臨死体験で死ぬとき心は
どうなるのか」が放映されて話題になりました。死の最先端の研究をしている
世界中の学者を、立花隆が半年も取材してつくった番組で、「人類が答えを追い
求め続けてきた生と死にまつわる壮大な謎。その謎に挑む立花隆の思索の旅」
というものでした。七十三分にわたる難しい内容で、堅い番組にもかかわらず、
視聴率が11パーセントもあったといいます。
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06月23日(金)
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