ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5512,人類史上最大のバブルが弾ける時 〜②
〜【中国とどう付き合うか】人類史上最大のバブルが弾ける時
熊谷亮丸『大和総研』チーフエコノミスト
* 中国の成長モデルは賞味期限切れ
隣りの中国は、今や世界恐慌をもたらすかもしれない火薬庫でもある。
経済の失敗を覆い隠すために、戦争を仕掛ける可能性もあり、その時期が、
3〜5年先かもしれないというから、尋常の話でない。日本は、大地震と
大噴火、そして異常な国債過剰などを抱え、中国経済の問題は、他山の石
ではない。現役だったら、その危機感は想像を超えたものだろう。特に、
地方は、激流の波の被害を一番早く受けることになる。問題は、その後の、
日本への難民の処遇問題になる。 グローバル化とは、こういうこと!
≪ 中国の成長モデルは最早、賞味期限切れが近付いている。
構造問題が山積しており、経済的・社会的な矛盾が臨界点を超えつつある。
経済面では、政府との癒着が続く中、国有企業の改革は遅々として進まず、
労働生産性が低迷している。 国有企業は利益を配当として政府に還元する
ことなく、非効率な事業への再投資を続けている。経済の牽引役は依然として
“箱物”中心のインフラ投資で、経済のサービス化も遅れている。
結果として民業は圧迫され、規制緩和等を通じた民間企業のイノベーションは
進展していない。社会構造の面では格差が拡大・固定化し、低賃金労働者の不満
が溜まっている。社会保障・教育・医療等のセーフティーネットの整備が不十分
であることも、消費低迷を助長している。
中国には“ネズミ族”という、地下の明かりの無いところで共同生活を送る
貧困層が100万人以上存在すると言われる。その多くが地方からの出稼ぎ労働者
(農民工)だ。彼らの部屋に窓は無い。その暮らし振りは、宛ら洞窟で生活する
ような印象だ。 これらの構造問題を根本的に解決しない限り、中国がどれだけ
公共投資等のカンフル剤を打っても、それは問題の先送りに過ぎない。
将来的には、より一層膨張した“バブル”が弾けるという最悪のシナリオが
不可避となるだろう。
ここで、中国で“バブル”が崩壊した場合の潜在的なマグニチュードを定量化
しておきたい。 筆者のシミュレーションに依れば、
〔資本ストック調整が本格化する“メルトダウンシナリオ”では、中国の潜在
成長率は1.6%まで低下し、実際の経済成長率は大幅なマイナスに陥る。〕
勿論、一般論として言えば、世界経済のドライバーは依然としてアメリカで
あり、決して中国ではない。仮に中国経済が少々減速した場合でも、日本経済に
与える影響は軽微なものに留まろう。しかし、中国経済が“メルトダウン”する
場合には、全く別次元の話となる。その影響は、〔世界経済を奈落の底に叩き
落とす程の強烈なインパクトを持つ〕ことになりかねない。中国の政策当局には、
自らが置かれた状況を的確に認識した上で、中長期的な構造改革と、短期的な
カンフル剤に依る景気刺激策をバランスよく講じて、何とか中国経済を
“ソフトランディング”に導くことを切に期待したい。尚、中国での“バブル”
崩壊に伴う日本への悪影響は、主に中国向け輸出の低迷と、消去法的な
円高進行を受けた他地域向けの輸出低迷という2つのルートから生じる。
中国人に依る“爆買い”の消失を懸念する向きもあるが、2014年のデータでは、
日本の対中輸出は13.3兆円程度と、訪日中国人の日本での消費額(5600億円程度)
の24倍に達する。つまり、中国向けの輸出は中国人に依る爆買いよりも、日本
経済に与えるインパクトが遥かに大きい。中国経済の減速に備えて、我が国の
政策当局は何をなすべきか? “Do your homework.(自分の宿題をやれ)”と
いう言葉があるが、日本政府は自らの積残した課題に粛々と取り組むべきだ。
現時点では、当初のアべノミクスの3本の矢の中で、“第1の矢”(金融政策)
に過度な負担が集中しており、構造改革は若干遅れ気味である。今後は、
①農業・医療・介護といった分野における所謂“岩盤規制”の緩和
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04月18日(月)
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