ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5409,新年に ー「過去」は過ぎ去らることはない
*「過去」はわたしを忘れない 〜『貧乏の神様』柳美里著
芥川賞作家の柳美里の『貧乏の神様』の中にあった言葉。
現役時代の「森の生活」の時節は、過去は遠い彼方のように思っていたが、
還暦を過ぎる「サバンナの生活」に移行したころから、以下のように
過去への心象風景がチョイと変わってきた。 〜その一節より
≪ ・・「過去」とは、過ぎ去った時間や事柄を示す言葉ですが、
わたしは、「過去」は決して過ぎ去らない、と思うのです。
自分が2つの足を置いているその場所に、過去は地層のように堆積し、
精神が地震に遭ったように揺らぐと、足元に亀裂が走り、地層(過去)
が露出する―― 放浪の最中に、わたしは何度も過去に待ち伏せされ、
過去の落とし穴に足をとられそうになりました。
わたしが過去を忘れても、過去はわたしを決して忘れない。
過去が更新されて「今」になるのではなく、過去は過去のまま
更新されるのです。未来は全て過去にある、という言葉の意味を、
40歳を過ぎて噛み締めています。≫
▼ <過去を忘れても、過去はわたしを忘れない!>
<未来は全て過去にある> の言葉が先の少ない時節の胸に刺さる。
秘・異郷を中心に50回のツアーに行った先のどこかが、TVの旅番組で、
毎日のように現地レポートされる。その度に、それぞれの記憶が露出し、
その体験した記憶に、新たな現地の映像が加わっていく。この随想日記も、
早朝に15年分を読み返していると、過去からの声が、それぞれの同月同日の
「いま、ここ、わたし」の声が、ざわめきのように「いま、ここ、わたし」
に語りかけてくる。 葬式で、故人の決して後味が良いだけでない思い出が、
心の足元を揺らがすことがある。サバンナ(御隠居)の生活では、有り余る
時間の中で、過去の堆積物から思いもよらないフラッシュが沸いて出る。
あの暗い老人は、その暗黒の堆積物の暗部に引き込まれた結果である。
「因果応報」「因縁」というが、隠れている過去は、何かをキッカケに
表立ってくる。それが現在か、近い将来になるかでしかない。
人生とは、過去という荷物を担いで、一歩一歩を独りいく道のりである。
・・・・・・
5044,生と死をめぐる断想 ー1
2015年01月05日(月)
『生と死をめぐる断想 』岸本 葉子(著)
* 死をそばに感じて生きる 〜団十郎の辞世
ー 色は空 空は色との 時なき世へ ー
以下は、序文の冒頭の内容。日本人の2人に1人の割合でガンになり、
3人に1人の割合で亡くなるという。高齢化で、ガンになるまで、死ななく
なった結果、死を意識する時間が長くなったこともある。今では死に関する
知識を、一般の人が、ネットなどから死生観を収集したり、表現できる機会が
増えている。 ー まずは序文の冒頭からー
≪ 2013年2月に亡くなった歌舞伎俳優の市川團十郎の辞世の句だ。
葬儀の場で長男の團十郎のパソコンに残されていたという。
詠まれたのは前年の十二月、亡くなる数ヶ月前である。
色は空(そら)、空は色(いろ)との 時なき世へ、と海老蔵は読んでいた。
この句に接し、『般若心経』の中のあの一節を思い浮かべる方は多いだろう。
色即是空 空即是色。それに寄せて読むならば、冒頭の句は、
色は色(しき)空 空(くう)色(しき) との時なき世へ、となる。
色はかたちあるものと、ひらたくは言われる。空は空っぽ、何もない、という
ことか。空しい、ということか。かたちあるものは実は何もない、空しい、と
教えているのか。そうではない。(略)・・ このことは追々深めたい。
時なき世とは。時間のない世。時間を超えた世。超時間性は永遠と言換えられる。
それは、この世に対するあの世なのか。この「時なき世」が團十郎の句では
「色は空空は色」と「との」でつながる。「との」は、と言われる、とか、と
聞いている、の意だ。色即是空、空即是色とかねてより聞いている時なき世。
「へ」は方向を示す助詞である。色即是空、空即是色とかねてより聞いている
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01月05日(火)
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