ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5308,全球凍結(スノーボールアース) 〜④
         『新潮45ー2015年5月号 〜スノーボールアースについて』
   * 全球凍結仮説はの反発理由
 宇宙、地球、生物、人間の存在と、その生成過程を知れば知るほど、
その不思議さに驚かされる。生きている限り、その追求をしたいが。
全球凍結の時代が数億年後に来るのだろうが、その時に現在の人間レベルの
知的生命体が存在して、人間を研究していると想像しただけでも、愉快になる。
 〜ここで、全球凍結説に対する、純粋な疑問について言及している。
≪ スノーボールアース仮説に対する最大の反発理由について、
:たけし スノーボールアース仮説への最大の反発理由は、「それなら、なぜ
 生命は生き残っているのか」については解明されたのですか。全部が凍って
しまうとはいえ、地球の内部は六千度とか高温だから、そうした熱が外側まで
届いた可能性はあるんじゃないですか。生物といってもバクテリアのような
ものだったと思うのですが、その熱で生き残ってきたとは考えられませんか。
:田近 実はそこが大事なんです。というのは、海洋は平均すると四千メートル
 ぐらいの深さがありますが、寒くなると上から冷えて凍っていきます。
しかし、下からは熱が来るので、全ては凍らない。表面から千メートルぐらい
までは凍って、その下の海水はそのままなのです。だから、一部の生き物は
海の深いところで生きていたのかもしれません。
:たけし 地表では生物が滅んでいても、氷下には原始生物がうじゃうじゃいた。
:田近 今でも深海には温泉みたいに熱水が湧いてくるところがあって、
 そこには生態系が存在しています。ああいうものは多分、あまり影響を受けな
かったのかもしれない。問題は昔から光合成をする生き物がいたわけで、
そうした生物にとっては困った状況になってしまったことです。
:たけし 深海の熱水噴出孔の周りで生きている生物は熱水に含まれる
 硫化水素を栄養にしているから、光がなくても生きていけるけれど、
光合成をする生物はどうしたんだろう。
:田近 光は海だと百Mぐらいしか透過しないので、深いところには届かない。
 さっきも話ししたように海は千メートルぐらいまで凍ってしまう。
光合成生物は光が当たるところでしか生きられないので、彼らがどうやって
生き延びたかを説明しろと言われると回答に窮してしまう。光合成をする藻類が
全球凍結を生き延びた証拠があるのですが、誰もそれを説明できないんです。
:たけし 現在も北極の方に火山があって温泉がある。
 だから、全球凍結の時代にも凍らない地域があったのかな。
:田近 アイスランドとかに温泉があります。ですから、基本的に地球は凍って
 いても、局所的には温泉みたいなところがあって、そこは凍らないでいて、
光合成生物が生き残ったという考えがあります。
私もその説を支持したいが、まだはっきりとしたことは分かっていません。 
:たけし しかし、よく全球凍結から地球が抜け出せましたね。その理由も
 分かっているんですか。
:田近 全球凍結しても火山活動は継続していました。停滞していた火山活動が
 活性化して、火山噴火によって二酸化炭素が蓄積していけば、やがてその温室
効果によって全球凍結状態から抜け出せたと考えられています。
:たけし 凍ったところがとけて地表が出てくれば、太陽の熱を吸収する。
 それがまた地球を暖めることになって、凍った時と逆のフィードバックが起きる。
:田近 はい。ただ、それでも全球凍結から抜け出せるようになるには、
 数百万年から数千万年は必要です。(『新潮45』、282頁) ≫
▼ 生命という視点では、気の遠くなる時間になる。この私に至るまでには、
 こういう生命の歴史が背景に存在している。存在の不思議と、偶然と必然の
問題も出てくる。簡単に、ビッグバンまで遡って、それを成した大元を「神」
と言い切ることも可能。 「いま、ここ、わたし」の味わいこそ、永遠である。
・・・・・・
4943,「事業人生を決心して45年」の語り直し ー51(余禄)
2014年09月26日(金)

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