ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5244,他諺の空似 〜ことわざ人類学 〜②
『他諺の空似 〜ことわざ人類学』米原万理著
* 寄らば大樹の陰
下ネタや、以下のようなグローバルのネタは、悲しいかな、地方では書籍
でしか知る機会がない。ロシア、それも極東は、アメリカ開拓時に酷似して
いるのだろう。 何事も現場に行くと、思いとは違った世界が見えてくるもの。
≪ 六年ほど前、大学の先輩で長年某老舗商社の名物社員だったMさんの送別会
がもたれたことがある。「何を今更、商社員に海外出張や海外赴任は日常茶飯で
しょうが。どうせ飲み会の口実でしょう」 声をかけてくれた幹事のS君に言い
かけて、口をつぐんだ。手渡された案内状の文面から「ヴラジヴォストーク市」
という文字が飛び込んできたからだ。
「まさか……冗談でしょう。モスクワ支店長もつとめたことがあるMさんを」
体のいい肩たたきだと思うんだ。まあ、オレもそろそろかなあ」S君は力無く
微笑んだ。送別会でも、友人たちの誰もがMさんに同情した。
「あいつも今まで気味悪いほど順調だったのに、ついに運に見放されたか」
豪放轟落な快男児として慕われてきたMさんも、この時ばかりはびびっていた。
・・「でもね、ほらオレ再婚だから、子供はまだ小さいし、家のローンは
いっぱい残ってるし・・」 声を詰まらせてグイッと杯をあおった。
Mさんは死地に赴く、その場にいた誰もがその時そう思った。
帝政時代に太平洋に開かれた不凍港として建設されたヴラジヴォストーク市は、
ソ連時代は太平洋艦隊の基地となり、外国人の出入りを禁止したいわゆる閉鎖
都市だった。ゴルバチョフのペレストロイカが始まってしばらくして閉鎖を
解かれた時は、画期的な出来事として騒がれたものだ。
ところが、たちまちソ連中のマフィヤが集結し、ソ連邦崩壊以降は、激動の
かの地でももっとも物騒な街となった。日本や東南アジア諸国から持ち込まれる
中古車をはじめとする大量の物品が、原価の数百倍、いや数千、数万倍の価格で
取引されるのだから、当然。利益の匂いを敏感に嗅ぎ付けて群がってきた。
経済が破綻し、貧富の差が急激に開いたことによって社会不安が広がる中、
ただでさえ犯罪率がものすごい勢いで上昇するところへ、マフィヤ同士の縄張り
争いが日常化するのだから、たまったものではない。そこへ明らかに金を持つ
無防備な日本人が乗り込んでいくのだ。狼の群れに飛び込む兎、狐の群れに投げ
入れられる鶏、猫の群れに放たれる鼠、蝿たたきの下に飛び込む蝿。標的に
ならない方が不思議である。ホテルや住宅地は、マフィアの合戦の対象になって
いるから、いつ流れ弾に遭うかもしれない。彼を送り出す商社が防弾チョッキを
配給したと聞いた時には、私も膝が震えた。
そのMさんから赴任後半年ほどして電話がかかってきた。声が拍子抜けする
ほど陽気である。「いやあ、米原さん、寄らば大樹の陰ですよ」何だか心配して
あげて損したなあと思ったほど嬉々としている。そんな私の胸中など察するはず
もなくMさんは得意げに話を続ける。「てゆうか、灯台もと暗しってのかなあ。
クックックックッ。要するにだねえ、この街最大最強のマフィヤが直接経営する
マンションに入居したんですよ。これ以上安全なところはないんだな。
警察なんかよりはるかに頼りになるんだよ、これが」 ・・・≫
▼ ここで、戦後日本が選択した生き方が、まさにこれであったと指摘する。
世界最強の暴力団=アメリカの傘下に入ることで、自国の安全を確保する
道を歩みざるを得なかったが、これが幸いした。利権を守るため、警察官と
称して殺戮を続けてきたが、アメリカの最大の邸宅内の飼犬として被害は最小?
救いは、そのことを大部分の国民に自覚が無いこと。ポチよ、沖縄は・・
・・・・・・
4879,閑話小題 ー最近、またカラスが・・
2014年07月24日(木)
* 最近、またカラスが・・
このところ、若いカラス数羽が自宅の庭周辺のテリトリー争いで、威嚇の鳴声
が鳴響いている。一年ほど前に以下の文章を書いていたが、現在も、その延長戦
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07月24日(金)
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