ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5924,閑話小題 〜帰りの宇宙船内で 〜4
あります。仮説には、白から黒までの幅広いグラデーションがあるのです。
この章では、そういった仮説の信じがたい大逆転劇をみていきましょう。・・・
「医学界の負の遺産、ロボトミー」。エガス・モニス(1874〜1955)という
ポルトガルの医者が、1949年度のノーベル生理学医学賞を「ある精神病において、
ロボトミー手術の治療的価値を発見したことに対して」受賞した。
(この年に湯川秀樹博士が「中間子論」でノーベル物理学賞を得た。)
ロボトミー手術とは、一口に言って脳の前頭葉の切除手術である。
モニスは、1935年に人間に対して、この手術を始めた。そのきっかけは、
1935年のロンドンでの神経医学会でカーライル・ヤコブセンとジョン・フルトン
という人が、「チンパンジーにロボトミー手術を行ったら凶暴性がなくなった」
という報告を行ったのだが、それを聞いていたモニスがロボトミー手術を
精神病患者に応用することを思いつき、すぐ自分の患者に対し手術をした。
これは、現代から考えると、まったくありえないこと。モニスは
「この前頭葉切除は、非常に簡単な手術である」といっていきなり数十人の
手術をした。当時は、たとえば統合失調症や躁うつ病に対し、効果的な治療法
がなかったから」という。1952年のクロルプロマジンに始まった薬物療法の
進歩によりロボトミー手術の評価は一変した。結果的には、ロボトミー手術と
いうのはとりかえしのつかない治療法だった。世論が180度変わってしまった。
1946年までに一万人が、この手術を受けている。・・・≫
▼ 時の政権の政策も仮説の典型。政権が変われば一八〇度覆ってしまう。
イラク戦争のフセインの科学兵器疑惑に、CIAの間違った調査でイラクに
攻撃を仕掛けた。これも、持っているという仮説の上で、調べた結果である。
人生を振る変えると、当てにならない仮設を信じて生きてきた。私だけでなく、
すべての人に言えるから、諦めがつくが、それにしても、である。
逆に過去の色いろな場面で、違った仮説で判断していたら、如何だったか?
という仮説も立つ。考えて仕方がないが、なるようにしか、ならなかった、
ということ。それにしても、大半の人の仮説は楽観的過ぎる!
06月04日(日)
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