ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5900,閑話小題 〜病は覚醒装置である 〜2
そこから小林秀雄の、次のようなはげしい断定も出てくる。≫
≪ ――精神の状態に関していかに精しくても、それは思想とは言へぬ、
思想とは一つの行為である。 (小林秀雄『私の人生観』より)
口で言うのならどうにでもなる、とよく人はいい、これはとくにわが国では
支配的で、政治家の言口葉などはその標本のようなものだが、そんなふうに
言葉=意見を弄んでいる者は、ついに真の自己に達することはできないだろう、
というのである。なぜなら、ひとは自分がしんから正しいと考えたこと
(それはその人の生き方から出た必然の思想である)を口にする時、己れの
全存在を賭けてそれを言うのであり、それが周囲に認められ、あるいは
否認されることで、己というものを知るのだから。≫
▼ 11年間、ここで書き続けてきた効用は、この実感がないことは逆に、
書けないということ。だから出来事に直面したときの実感を、その場で文章化
して頭に残して置いて、記憶に残す習慣が出来てしまった。写真家は、シャッター
チャンスを待つが、その間、頭の中で、その場の光景の実感を文章化している。
写真に添えられている文章は、だから写真を引き立てる薬味になる。思想とは、
真実、良心から出たものでなければ、心に達しないのである。心にとどくのは、
自分だけの頭で考え、経験し、感じた実感である。読書日記より、書くネタが
なく仕方なく捻り出した「閑話小題」、「つれづれに」のテーマの方が面白いと
言われるゆえんである。
05月11日(木)
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