ID:54909
堀井On-Line
by horii86
[382746hit]
■5878,閑話小題 〜朝鮮戦争が現実的に ー4
むしろ、私たちの心のなかに、それら三つのものがすべて取り集められる。
したがって、「過去のものの現在が、記憶であり、現在のものの現在が、
直観であり、将来のものの現在が、期待である」とアウグスティヌスは言った。
いわば心という大きな現在のなかに、過去の追憶と、現在の印象と、将来の
予期とが、すべて取り集められているわけである。たえず現存し続ける
その大きな心が、うしろを振り返って追憶に浸るときに、過去が浮かび上がり、
いま周囲を注意深く見回すときに、現在が印象深く迫ってき、行く末を思って
期待や予期に心を震わせるとき、将来が思い描かれるのである。 時間とは、
このように、振り返ったり、見回したり、行く末を思ったりする心の働き、
すなわち記憶や追憶、知覚や直観、期待や予期といった心の作用に由来する
わけである。逆に言えば、大きく静かで揺らぐことない「立ち止まる今」と
いう現在の心の場、いわばそうした明鏡止水の心眼という現在の鏡のなかに、
さまざまな過去と現在と将来の出来事が映し出されてきて、それらが追憶され、
知覚され、予期されるとき、そこに、それらの出来事が、過ぎ去り、現れ、
到来する時間の諸相において意識されてくると言えるであろう。】
▼ 現在置かれている、この節目どきに、これまでの記憶と追憶と、現在立た
たれている分岐点、そして、これから予期されること、その三つが、心の中で
濁流のように渦巻いている。この自分の中に、多くの節目があって、それが
現在という幅のある時間の中で自分という確かな存在が見えてくる。これは
晩年期に差し掛かった人間に共通しているが、心が、これほど激しいものと。
人は生きてきた、そのままに老いるとは、その意味である。 現在は、
その「立ち止まる今」である。 それでも時間は止まらない。
04月19日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る