ID:54909
堀井On-Line
by horii86
[383153hit]
■5546,子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの? 〜②
それぞれ立っている場所から自己と自己に与えられたモノを見つめることに
よって、それぞれの意味を見出し、苦しみを乗り越えることが出来るはず。
わたしはそう思っていたりします。「真の運命を正しく耐え、率直に苦悩する
ことは、それ自身、行いであり、まさに人間に許される最高の成就であり
業績である。」 (『神経症の理論と治療』より)
-----------
「夜と霧」からの抜粋
ー内面化と内的豊かさー
人間が強制収容所において、外的のみならず、その内的生活においても、
陥って行くあらゆる原始性にも拘わらず、たとえ稀ではあれ著しい
”内面化への傾向”があったということが述べられなければならない。
元来精神的に高い生活をしていた感じ易い人間は、ある場合には、その比較的
繊細な感情素質にも拘わらず、収容所生活のかくも困難な、外的状況を苦痛では
あるにせよ彼等の精神生活にとってそれほど破壊的には体験しなかった。
なぜならば彼等にとっては、恐ろしい周囲の世界から精神の自由と内的な
豊かさへと逃れる道が開かれていたからである。”かくして、そしてかくして
のみ繊細な性質の人間がしばしば頑丈な身体の人間よりも、収容所生活を
よりよく耐え得たというパラドックスが理解され得るのである。”
若干の囚人において現れる内面化の傾向は、またの機会さえあれば、芸術や
自然に関する極めて強烈な体験にもなっていった。そしてその体験の強さは、
われわれの環境とそのすさまじい様子とを忘れさせ得ることもできたのである。
〜中略〜 あるいは一度などは、われわれが労働で死んだように疲れ、
スープ匙を手に持ったままバラックの土間にすでに横たわっていた時、一人の
仲間が飛び込んできて、極度の疲労や寒さにも拘わらず日没の光景を見逃せ
まいと、急いで外の点呼場まで来るようにと求めるのであった。
そしてわれわれはそれから外で、西方の暗く燃えあがる雲を眺め、
また幻想的な形と青銅色から真紅色までのこの世ならぬ色彩とをもった様々な
変化をする雲を見た。そしてその下にそれと対照的に収容所の荒涼とした灰色の
掘立小屋と泥だらけの点呼場があり、その水溜りはまあだ燃える空が映っていた。
感動の沈黙が数分続いた後に、誰かが他の人に
「世界ってどうしてこう綺麗なんだろう」と尋ねる声が聞こえた。
ー運命としての苦悩を受け入れるー
かかる人々は、著しく困難な外的状況こそ人間に内面的に自らを超えて
成長する機会を与えるものだということを忘れているのである。
収容所の外的な困難さを内的な試練の試みに変える変わりに、彼等は現在の
存在を真面目に受けとらず、それをある重要でないものに貶め、過去の生活に
思いを寄せることによって現在の前では目を閉じるのが最も良いと考える。
ところで具体的な運命が人間にある苦悩を課する限り、人間はこの苦悩のなか
にも一つの課題、しかもやはり一回的な運命を見なければならないのである。
人間は苦悩に対して、彼がこの苦悩に満ちた運命と共にこの世界でただ一人
一回だけで立っているという意識にまで達せねばならないのである。
何人も彼から苦悩を取り去ることはできないのである。
”何人も彼の変わりに苦悩を苦しみぬくことはできないのである。
”まさにその運命に当たった彼自身がこの苦悩を担うということの中に
独自な業績に対するただ一度の可能性が存在するのである。
ー【フランクルに学ぶ(日本教文社,斉藤啓一】ー
・『 人間など,いくら優秀でも大したことはできない.
真に偉大な業績は,宇宙の力を借りて行う.』
・『 人間は近くに,神は遠くに幸福を見る.
【2016年5月22日字数制限のためカット】
05月22日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る