ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6019,閑話小題 〜人間は「使い捨てカメラ」である
南米最南端パタゴニアであった」ということ。アフリカから追われ、その移動先
で落ち着くと、その中の弱者はまた弾き出される。その積み重ねが、アフリカ
から南米の最南端までの人類の軌跡であった。その過程で生き延びる知恵こそ、
弱者の知恵になる。その過程で彼らは進化したかというと、そうではない。
北アフリカと欧州に留まり闘い続けた人間が、文明の基礎を作りあげていった。
逆に、エスキモーとか、南米インディアンは、逃げることで生き延びていった。
弱者には逃げるしかない。この切り口で人類の歴史を鳥瞰してみると面白い!
僻地の人間は、そのためか優しい。 ーその辺りから抜粋ー
《 たけし〕しかし、六万年前に人類がアフリカから移動していって、
世界中に広がったルートを逆に辿る発想は面白いけど、ずいぶん無茶なことを
しましたね(笑)。
関野〕 確かに逆ルートは無理があります。やっぱり人類は逆ルートで移動しない
ことが、やってみると分かります。全部、逆風なんですよ。例えばべーリング
海峡を渡るときに、風速5〜10Mのいい風というのは西から吹く。
僕はアラスカからシベリアに行くわけですから、東風が欲しい。しかし、
東風は風速15M以上になることが多い。
たけし〕どうしてアフリカで生まれた人類が全世界に移動したと
言われているんですか?
関野〕研究者によって意見が違っていて、僕は最初、「あの山を越えたら
何かあるんだろうか」という好奇心、あるいは「あの山を越えたらもっと獲物
がいて、いい暮らしが出来るんじゃないか」という向上心で心で動いていたと
思っていました。もしそういう好奇心とか向上心とか、いわゆる
進取の気性に富んでいたなら、一番遠くまで行った人たちの末裔のはずです。
たけし〕そういうことになります。
関野〕ところが行ってみたら逆でした。南米最先端に行った人は一番弱い人です。
そこでは狩猟生活もできない。ホタテとかカニをとって生活をせざるを得ない。
どうしてそんなところに移住してきたのだろうと考えてみると、弱いから。
例えば、あるところが住みよいとなれば人ロが増えていきますよね。
たけし〕 そうなると誰かがふき飛ばされる人が出てくる。
関野〕ええ、誰が出ていくかが問題になる。強い人出ていきません。
そこで、はじき出された人がフロンテアに行くわけです。滅びてしまう人も
多いと思いますが、そこでバイオニアになれた人が生き残れる。
創意工夫を働かせて適応した人が「住めば都」に変えてしまう。
そこでも人口が増えると、また弾き出される人たらが出てくる。
だから、日本は弱い人の吹だまり。それ以上、東に行けないわけですから。
たけし〕日本人がもともと弱い人間の吹だまりだというのは面白いね。
関野〕それはイギリスも同じですね。もっと西に行けない。ところが、いいか
悪いかけ別にして、日本はアジアを制圧しようとしたし、イギリスは世界を
制覇しようとした。だから、弱いといって、いつまでも弱いわけでない。
弱いから逆にいろんな知恵を使うわけです。元もと人類はその誕生のとき
から、弱いから知恵を使って生きてきた。 》
▼ 強みは、弱者の苦労から湧き出る知恵から生まれる。決して野心を持って
挑んだ訳ではない。弱者の知恵こそ、力になる。弾き出した方はといえば、
変化適応能力が無くなり弱者になっていく。 何処かの国か、地域そのもの。
脱皮できない蛇は死ぬ。
・・・・・・
4181, 呪いの時代 ー1
2012年09月06日(木)
「呪いの時代」内田樹著
なかなか時代の特質を捉えた面白い本である。バブルと、バブル崩壊後、
日本は20年以上も下降曲線をたどっている。経済大国と言われたのも遠い
過去になりつつある中、人々は、その環境の中で互いに呪い、怒りをぶつけ
あっている。そして中流社会が崩壊を始め、総下流化社会になりつつある。
そこでは互いに呪い、一部勝ち組を呪う時代になっている。
呪いは人間としての悪い意志、否定的な情動であるが、その核心部分には
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09月06日(水)
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