ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5912,『しあわせ仮説』 ー10
いました。一人前になることは、財産を含めて地域社会から認知を受ける
という意味でもあります。
・長年、無政府状態が続いたソマリアの取材を続けていますが、ここでは
「大人」という言葉に、成人という意味に加え、「偉い人」「長老」という
意味があります。長老はだいたい50歳以上、10人の集団に2、3人の割。
人望や財力、教養があり、何か問題が起きた時に「あの人に相談しないわけ
にはいかない」というような存在です。氏族内のトラブルや他の氏族との
争いでは、交渉の窓口になり、決定権や責任を持ちます。前例をもとに
物事が決まる社会なので、年を重ねることは知識と経験をもつ貴重な
データベースということになり、尊敬されます。私はいま47歳ですが、
日本も私が子供の頃はアフリカやアジアの発展途上国のように、結婚して
家庭をもって初めて一人前扱いされるという感覚が一般的だったと思います。
・最近は日本を含めた先進国で、年寄りの経験値の意味が薄れてきています。
情報技術を駆使できる若い世代が圧倒的に知識量が多い。従って社会的に
年寄りが尊敬されることもなければ、年をとるメリットも感じられなく
なります。何歳から何をすべきだ、この世代はこうあるべきだという
決めつけがなくなり、多様なライフスタイルが認められるがゆえに、単純に
一人前とはこういう人といえなくなっています。例えていうなら、今の日本
は山田洋次監督の映画「男はつらいよ」シリーズで、社会規範にとらわれず、
気ままに旅を続ける「フーテンの寅さん」が急増している社会です。
寅さんが増えると少子高齢化がさらに進み、社会が回っていかない。
同時に本人もつらい。規範がない社会では自分でそれを作らなければ
ならないからです。特に日本人は自分で自分の価値観を作ることが苦手。
でもいったん自由になると、なかなか過去の価値観には戻れません。
「一人前とはこうだ」というモデルを強要しない社会は、
「自由はつらいよ」ともいえるんじゃないでしょうか。
* 高野秀行 66年生まれ。早大探検部時代にコンゴを探検し
「幻獣ムベンベを追え」
でデビュー。》
▼ 私の人間としての一人前は、三年前の節目時。「なるほど、自立する
とはこういうことか!」という感覚。 家庭持った時点の自立は社会の中の
承認だが、リタイアー後の自立は、社会の束縛?からの、自立になる。(>'A`)>
いや、超越の方が正しい。真の孤独を味わうべき時に、自立できないで
アタフタしている姿がイジマシイ :((゙゚'ω゚')):
・・・・・・
4450, 「死ぬのが怖い」とはどういうことか ー10
2013年05月23日(木)
ー「死ぬのが怖い」とはどういうことかー前野 隆司著
人生の大問題は死期が迫り、もう先はないと悟った時の恐怖である。
脳溢血や事故で即死なら別だが、誰もが最期の最期に行き当たる大問題。
だから著者の言葉は平易だが、どれもこれも深い。死を扱っていると同時に、
如何に生きるかの問題でもある。この年齢になると誰も明日にでも突きつけ
られる可能性のある。だから「死を解決する登山道」という。初めは軽い
気持ちで読んでいたが、読むほどに哲学の総論を読んでいるようになる。
ーここまで書ききれなかった印象的部分を抜粋してみるー
・切腹を辞さないほどの死の覚悟を常に持つということは、欲の超越、
自我の超越、生死という二項対立の超越だ。
・むしろ21世紀は、世界が日本化し、日本も日本思想に戻っていく時代
なのではないかと思う。もちろん、ここでいう日本思想とは、明治に回帰
したいという現代保守主義ではない。もっと前からの日本思想の原点は、
無我・無私の心、静かな達人の心だ。
・自己保存本能を超越し、何の因果かこの世に生まれてきたことに感謝し、
今この一瞬に集中してこの幻想としての自己の存在という奇跡を心から
祝福する気持ち。悩みや我欲を超越し、世界を愛し、自分が世界と一体で
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05月23日(火)
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