ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5432,人生で最も大切な技術 ー⑫ エゴのベー
いきやすいのが人間である。それゆえ、彼は自戒の言葉を口にしている。
「欲情と戦うのは困難である。なぜなら、それを欲する者を魂[命]をかけて
購うから。放漫を消すことは火災を消す以上に急務である」(断片四三)
ヘラクレスは、人間がしばしば欲情の虜になり、とりかえしのつかぬことをしで
かしたり、放漫、不遜になって、他人に不快感を与える存在であることを見抜いた。
人間は思わぬ仕方で壊れやすく、健全を失いやすいがゆえに、それに抗するため
にも、よく認識し、思慮を健全なものに保つようにしなければならないと考えた
ようにみえる。彼が認識したことは、自己を壊すものから、自己を防御し、
自己をよく整えるための自己認識であった。・・・≫
▼ 古代に、「わたしはわたし自身を探求した」とは、驚き。
 その頃から現在に至るまで、その問いが繰り返されてきた。まずは、他者と私、
そして、自己対話をする内なる私と、分裂した私。それより、今過ぎ去った
ばかりの己と、現在の己。 欲望に支配されている私と、それを見ている私。
ギリシャ哲学を知るにつけて、人間は二千五百年も考え続けてきたわりに、
殆ど進歩していないというより、後退しているとも思える。いや、西洋的進歩
という言葉自体が疑問である。それが構造主義につながっている。大きな節目
には、それまでの自己が壊される。その中で、破壊されてはならない核心は
守らなければならない。そのために、この随想日記で、「節目どきに」
「自己をみつめる」「自分の居場所のみつけ方」とかをテーマに、していた。
このテーマも、その一連だが、哲学の具体的入り口は、「自分」と「死」と
「神」と「自然」についてである。「私の事業」が崩壊して、残ったのは
「自分」である。それも傷物としての自分。しかし、核心まで傷ついた訳でなし、
問題は自己認識だが、どうもこうも、考えるほど、滑稽な行蔵しか残ってない。
これも気づくかどうかの問題だが・・「欲する者を魂[命]をかけて購う」、
その自分も、それぞれの他己から、自分の核心を守ることは至難の技になる。
・・・・・・
3961, 家族の崩壊は団塊世代の母親のせいか
2012年01月29日(日)
 あるレポートに、「家族の崩壊は団塊世代の母親のせいか」というのがあった。
私たち世代の連れ合いが団塊世代のため、身につまされるテーマである。その子供
たちが「ゆとり教育」の犠牲者で、無気力世代として社会の中核を占めている。
そして現在、団塊世代の退職期を向かえて世代交代が完了しつつあるが、良質の
人材の比率が少ないことが深刻な問題になっている。その中で団塊世代の母親は
核家族化の中枢にあって家庭に対する価値観が失われていった。それが家庭内
離婚を含めて過半数以上が家族崩壊をしているのが現状である。  
ー 次の部分は考えさせられる内容である。
≪ 数年前、行政企画の「団塊世代」をテーマにしたシンポジウムで、
 男性のことばかりが語られるので、団塊女性の老後の生き方に提案はあるか、
と質問した。ある男性の大学教員がこう答えた。「団塊世代の女性は、子育てに
失敗した世代なので、その贖罪のために孫育てに励んで、働く次世代の女性を
支え、家族崩壊を食い止めなさい」と。不登校や引きこもり、児童虐待、少年
犯罪、DVなど、家族を巡る現代の問題は、戦後の核家族を専業主婦として支えた
団塊世代の母親に起因すると考えられているらしい。
 確かに、戦後の急速な核家族化は、人々が当たり前と思って担ってきた日本の
伝統的な家族の機能を次々と失わせてきた。これまでは、自然に生まれていた
地縁による共同体を都会の核家族は作り出せなかったし、むしろ、家族は社会の
荒波から個人を守る防波堤、いや、高度経済成長期には産業戦士の男性たちを
企業に送り出すための最小単位の基地と化していった。それは日本社会独特の
家族機能とし賞賛さて、某大手企業では妻に会社からプレゼントが届いたりした。
今も「あなたにとって家庭とは?」と問えば、中年以降の日本の男性たちは声を
そろえて答えるだろう。「家庭とは安らぎの場」です、と。

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01月29日(金)
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