ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5453,人生で最も大切な技術 ー23 豊かな貧困者
市場の構造は一変することが予想される。周知のように、冷戦崩壊後、経済的に
貧窮していたロシア経済を救ったのは石油や天然ガスなどの資源である。
一般に、原油価格が1バレル80ドルを割り込むと、ロシア経済は苦しくなる。
ロシアは国内産業が未成熟なため、多くの製品を海外から輸入する必要がある。
意外に知られていないが、ロシア最大の弱点は農業。ロシアは多くの農産物を
海外からの輸入に頼っているが、資源が高値で売れないと、外貨を稼ぐことが
できなくなってしまうのである。そこでロシアのプーチン大統領は、天然ガスを
はじめとする資源をアジアに売り込もうと、日本にも積極的にアプローチ。
北方領土問題でのやや軟化姿勢はその苦悩の表れなのである。
同じように、経済的に厳しい状況に追い込まれるのが中東の産油国である。
1973年に石油危機が生じて以降、中東は現在まで40年もの間、大きな政治力を
発揮してきた。それはひとえに石油の賜物と言ってよい。しかしながら、今後
は中東の産油国に頭を下げなくとも、エネルギーが手に入るようになる。今後、
石油は単なるエネルギー商品の一つにすぎなくなる。中東諸国の凋落に合わせて
苦境に陥ることが予想されるのは、英国ロンドンのシティである。
これまで中東のオイルマネーを一手に集めてきたシティは、中東の地位低下と
一蓮托生になる。シェールガス革命後、欧州の中心は、金融においても
実体経済においても、急速にドイツへと移ることになるだろう。》
▼ 日本も脱原発問題を踏まえ、国内の資源開発に乗り出すだしかない。
しかし、その海域は地震発生と津波のリスクが存在する。それよりも、
全体の需要が減っていくため、さほど面白みのない分野なのかもしれない。
これもあって、アメリカが当分の間は、力を取り戻すことになる。
何があってもアメリカには、ドルという主軸通貨が健在だ。中東の原油の
決済通貨を盾にドルの裏付けにしていたものをシェールガスが加わるのだから。
・・・・・・
4357, 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 −2
2013年02月19日(火)
「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」 橘玲 著
* 愛情空間、友情空間、貨幣空間
私たちは、まず家族、そして友人を第一に考える。そして職場の仲間、
定年になれば趣味仲間になる。しかし貨幣を媒体とする買い物やサービスを
受ける付合いもある。それらの空間を、愛情空間、友情空間、貨幣空間という。
家庭、職場、お店という空間である。その中で、いざとなると金である。
その魔力に、その隠された本性が現れ出る。貨幣で世の中の9割以上を
買うことが出来る実感がする。その本質は交換手段だが欲望を満たす手段。
金は自由そのもの。勤め人が我慢して働くのは、自分の自由を労働という
不自由と交換するため。しかし得た賃金は、自由そのものになる。
その交換の場を貨幣空間という絶妙な表現が良い。お金ほどグローバル価値
のものはない。空気と同じで、それが無くなれば今日の食事もままならない。
ーその辺りの要約すると
≪ 私たちにとって、一番大事なのは、家族や恋人などの関係である。
これが八割ほどとみてよい。そして残りの19%が友人関係。ここには
会社などの人間関係も含めて「政治空間」という。そして残りが貨幣関係。
この関係は商品などを通して世界中ともつながる。中国製のユニクロの
シャツなどは、その典型である。その関係は空間にある。
・愛情空間は2〜10人ぐらいの小さな人間関係で、半径10Mぐらい。
ところが、この小さな世界が、人生の大半を占める。人間は太古より、
愛情空間の出来事の中で、愛情を作ってきた。人間社会は親族のネット
ワークで構成されていて、それを最優先をしても、誰も咎めをしない。
愛の至上主義は、生命の進化の過程で人類の遺伝子に組み込まれてきた。
だから、愛が無くなるなどありえない。
・友情空間は、最大でも20〜30人ぐらい(普通は10人前後)、
半径100Mほどの人間関係。政治空間まで広げても100人ぐらいでしかない。
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02月19日(金)
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