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★予防と審美専門★【小林歯科クリニック】
by DIARY
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■口腔がん−1 歯茎に斑点 骨ごと摘出
読売新聞医療ルネサンスから・・・

「さあ、始まるよ、始まるよ――」

2月下旬、東京・浅草の浅草寺近くの路上で、拍子木の小気味よい音とともに、道行く人たちに呼びかける大道芸人の源げん吾朗さん(69)の声が響き渡る。

外国人旅行客やベビーカーを押す母親に囲まれると、昭和初期に登場して人気を呼んだ「黄金バット」の紙芝居を始めた。
さらわれる少女や謎の怪物らの声色こわいろを使い分ける。
外国人を意識して「ウェート・ア・ミニット(少し待って)」などと英語も交え、場を盛り上げる。

源さんは1970年、役者を目指して山形県から上京し、劇団に入った。
度胸をつけようと新宿の歩行者天国で始めた紙芝居が評判となり、漫談家で同郷の俳優・ケーシー高峰さんに75年、弟子入りした。

その後、大道芸人として生きていこうと心に決め、「バナナのたたき売り」や「ガマの油売り」などの軽妙な口上を持ち芸に活動。全国各地を回り、米国など海外15か国でも公演を果たした。
浅草では土日祝日に紙芝居を披露している。

そんな源さんが口の中の異変に気づいたのは、2005年3月。
左側の下あごの歯茎に赤い斑点があるのを見つけた。かかりつけの歯科クリニックで歯周病の炎症を疑われ、抗菌薬を処方されたが、しばらくしても症状は改善しなかった。

紹介先の大学病院を受診したところ、歯肉がんと診断された。
口の中にできる「口腔がん」の2割近くを占め、舌がんに次いで多い。
治療の基本は手術。
下あごの歯肉がんは、あごの骨に広がりやすいため、進行しているほど、あごの骨を広く切除しなければならない。

「これまでのようにしゃべることが、できなくなるのではないか」。
話芸で身を立てる源さんは、口の中にメスを入れることに不安を感じた。
ただ、命には代えられず、2か月後に手術を受けた。
下あごの左側の歯6本を歯茎と骨も一緒に摘出し、入れ歯で補った。

2年後の07年10月、左足に皮膚がんの悪性黒色腫(メラノーマ)が見つかった。
幸い早期に切除できたため、すぐに仕事に復帰できた。
その後も大学病院には数か月に1回通った。

17年2月、口の中を診た担当医が、歯肉のそばにある粘膜が白く変色しているのを見つけた。
「腫瘍のようですね」。
組織を採取して調べると、がんだった。
歯肉がんの手術から10年余り。
完治したと安心していただけに一瞬、動揺した。

しかし、すぐに腹をくくった。
「気落ちしても仕方がない。また舞台に立つんだ」


明日に続きます♪
04月25日(土)
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