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On the Production
by 井口健二
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■たしかにあった幻、在日ミャンマー人−わたしたちの自由−、ブゴニア、木挽町のあだ討ち
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『たしかにあった幻』
カンヌなど国内外の映画祭で多数の受賞に輝き、関西万博で
はシニアアドバイザーなども務めた河直美が、自身による
オリジナル脚本では8年ぶりに監督した生と死を見詰めるド
ラマ作品。
主人公は神戸にある病院の小児科で移植コーディネーターの
サポートスタッフとして働くフランス人女性。西欧では通常
の医療として普及する臓器移植だが、日本では様々な障壁が
ありジレンマにも陥っている。
その彼女は1年前に屋久島・屋久杉の前で1人の日本人男性
と出会っており、その男性が突然訪ねて来て神戸の住まいで
同棲生活が始まる。その一方で病院ではドナーを待ち切れな
かった小児患者の死などにも立ち会うことになる。
そんな出来事が続く中で男性が姿を消してしまう。それから
1年後、彼女が依頼した調査で男性は7年前に家族から失踪
届けが出されており、そのままでは法律上の死亡が確定して
しまう状況にあることが判明する。
そして病院では1人の患者にドナーが現れ、手術の準備が開
始される。そこではドナーの家族や患者本人の意思確認など
の手続きがコーディネーターらによって粛々と進められ…。
生と死の物語が刻まれて行く。
出演は2023年6月紹介『アウシュヴィッツの生還者』などの
ヴィッキー・クリープスと、2025年9月紹介『そこにきみは
いて』などの寛一郎。他に尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏
と子役の中野翠咲、中村旺士郎。
さらに土屋陽翔、吉年羽響、山村憲之介、亀田佳明、光祈、
林泰文。また中川龍太郎、岡本玲、松尾翠、早織、小島聖、
平原テツ、利重剛、中嶋朋子らが脇を固めている。
作中では実に様々な生と死の形が描かれている。それは生き
ることを渇望しながらの死であったり、その死によって残さ
れた心臓が移植によって生命を引き継いでゆく話だったり。
そこでは日本での移植医療の在り方も問われる。
それに対する失踪者への死亡の宣言、そこには全く別のドラ
マも隠されている。実はタイトルなどからはちょっとファン
タスティックな展開も期待したが、そんな気分は吹っ飛ぶほ
どの重大なテーマが描かれていた。
正に河直美の真骨頂という感じの作品だった。
公開は2026年2月6日より、東京地区はテアトル新宿他にて
全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ
オの招待で試写を観て投稿するものです。
『在日ミャンマー人−わたしたちの自由−』
2022年10月紹介『愛国の告白−沈黙を破る・Part 2−』など
の土井敏邦監督が、2013年に発表した『異国に生きる−日本
の中のビルマ人』の14年後を描いたドキュメンタリー。
実は2013年の作品も観ていたが紹介は割愛したものだ。その
理由は定かでないが、この頃は年間 560本程度を観ており、
軍事政権には反対の立場を執るものの当時は軟化の傾向で、
自分の中で書くものが見つからなかったのだろう。
その一方で日本との関連性が弱い印象だったこともあったと
思う。それが本作では一気に状況が変わってしまった。これ
は全くもって日本の問題であり、しかもその状況は一切改善
される目途もないどころか、さらに悪化もしそうだ。
そんな状況が3部構成、総上映時間 171分に亙って描かれて
行く。その第1部は前作と同様に日本で運動している人々が
描かれ、第2部では前作以降の民主化と、その際の一時帰国
や民主化によるミャンマーの発展などが描かれる。
それが第3部では一転して2021年2月1日の国軍によるクー
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12月14日(日)
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