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On the Production
by 井口健二
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■私にふさわしいホテル、敵
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『私にふさわしいホテル』
2008年「オール読物新人賞」を受賞し、2018年には『伊藤く
んA to E』などの映画化もある柚木麻子が2012年に発表した
同名原作を、多くのヒットTVドラマとその劇場版などを手
掛けてきた堤幸彦監督で映画化した作品。
主人公は文芸雑誌の新人賞でデビューしたものの、その後は
鳴かず飛ばずの女流作家。その原因は受賞作が大御所作家に
酷評されたことにあると、本人は思っている。そんな主人公
が小説家の聖地「山の上ホテル」に自腹でやってくる。
するとそこに大手出版社の編集者で大学の先輩が訪ねてくる
が、彼の本来の訪問先は一つ上の階に缶詰めになっている大
御所作家の部屋だった。それでも彼の発言からある奇策を思
いついた主人公は大手誌の記念号への掲載を勝ち取る。
そんなことで作家活動が軌道に乗り始めた主人公だったが、
その前に再び大御所作家が立ちはだかる。そこで再び奇策を
発動した主人公だったが…。次々起こるどんでん返しを彩り
に文芸界の闇が描かれて行く。
出演は、2020年1月19日付題名紹介『星屑の町』などののん
と、田中圭、滝藤賢一。他に田中みな実、服部樹咲、熕ホあ
かり、橋本愛、橘ケンチ、光石研、若村麻由美らが脇を固め
ている。
文芸界の隅っこに身を置いた者としてはこんなことあるかな
あという感想だが、僕が仕事を始めた頃はそれなりの後ろ盾
があったからこんな思いはしなくて済んだのかもしれない。
原作者は新人賞デビューだから実体験もあるのだろう。
ただまあ編集者のありように関してはニヤリとしてしまうと
ころはあって、確かにこんな御仁が沢山いる場所ではある。
そんな訳で結構面白く観ることができた。山の上ホテルの内
部をしっかりと観ることができたのも楽しめたものだ。
それから橋本愛の共演も、のんのいろいろな経緯を考えると
嬉しくなるよね。2人だけのシーンがしっかりと設けられて
いたのも拍手したくなるほど嬉しく感じられた。律儀な人た
ちなんだろうな。
そんなこんなで、いろいろなことが本当に嬉しくて楽しめる
作品だった。ただ最後にちょっと首を傾げるシーンはあった
が…単純なミスには見えないし、これは監督が観客に向けて
仕掛けたのかな? そんなことも楽しめた。
公開は12月27日より、全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社日活/KDDIの招待で試写を観て
投稿するものです。
『敵』
2006年11月紹介『パプリカ』などの筒井康隆が1998年に発表
した原作を、2017年2月紹介『美しい星』などの吉田大八が
脚本、監督した作品。
主人公は10年前に退職したフランス近代演劇史が専門の元大
学教授。20年前に妻に先立たれ、都内山の手の一軒家に暮ら
しているが、先々のことも計算済みで遺言状も書き、まずは
悠々自適という風情だ。
そんな主人公の家には男性の昔の教え子がリフォームなどの
手伝いに来てくれるし、女性の教え子を招いて手作りのディ
ナーを振舞ったりもする。そして長年の知人とはバーで飲む
こともある。そのバーには若い女子大生もいた。
そんな平穏な主人公の生活に、ある日「敵がやって来る」と
いう不穏なメールが届き始める。それと共にいろいろな妄想
が生じ始め、遂には亡き妻まで復活してくる。そして世界が
崩れ始める。
出演は映画主演は12年ぶりという長塚京三。他に瀧内公美、
河合優実、黒沢あすか、中島歩、カトウシンスケ、熹ィ遊、
二瓶鮫一、煖エ洋、唯野未歩子、戸田昌宏、松永大輔、松尾
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10月13日(日)
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