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On the Production
by 井口健二
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■マグダレーナ・ヴィラガ/クイーン・オブ・ダイヤモンド、ハピネス、フェラーリ、わたしの物語
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『マグダレーナ・ヴィラガ』“Magdalena Viraga”
『クイーン・オブ・ダイヤモンド』“Queen of Diamonds”
前回紹介した『ブレインウォッシュ』のニナ・メンケス監督
がそれぞれ1986年と1991年に発表した初長編作品及び代表作
とされる作品の、米アカデミー・フィルム・アーカイヴ主導
によるレストア版(著作権2024年)。
1本目は、題名の「マグダレーナ=マグダラのマリア」から
想起される娼婦の物語。彼女は女友達とクラブにいるところ
を踏み込んできた警官に逮捕されるが…。彼女がいる拘置所
と数多の男と過ごすベッドルーム、それにプールサイドの映
像。それらが時系列を錯綜させて描かれる。
2本目は、タイトル代わりに描かれるトランプのカードが示
すカジノの女性ディーラーの物語。彼女の仕事ぶりと彼女が
昼間に寝たきりの老人を介護している姿とが描かれる。さら
に女友達と訪れる湖や劫火に焼かれる樹木の映像。こちらも
各々のシーンにはあまり脈絡のない作品だ。
それぞれは90分及び75分の作品で物語的にはかなり簡略化さ
れていると考えられるが、その割には結構な長回しや一つの
場面の執拗なまでの描写など、正直に言って商業作品という
より実験映画に近いものと考えた方がよさそうだ。論評には
タルコフスキーへの言及もあったが、そんな感じもする。
いずれにしても映画をエンターテインメントとして観たい観
客には少しハードルの高い作品と言えそうだ。まあそういう
作品だからこそアカデミーがレストアを主導したのだろう。
歴史的価値が認められる作品ということだ。
製作、脚本、監督、撮影はニナ・メンケス。主演はいずれも
監督の実妹のティンカ・メンケス。なお編集は2人の共同と
なっている。
前回紹介の作品では映画における女性の搾取について論じら
れていたが、この2作の主人公がそれぞれ娼婦と女性ディー
ラーというのは搾取される女性たちと言えるかもしれない。
その辺は意志が貫かれていると言えるだろう。
ただ1本目の作品にはヌードの女性も登場しており、その辺
の経緯は前回紹介作の中で論じて欲しかったかな。そういう
時代というだけでは説明できないものがそこにはあったはず
なのだから…。
なおこのヌードの女性が実在のものか否か、さらには主人公
を含む孤児の三姉妹という存在そのものにもいろいろ悩まし
いところを感じる作品でもあった。宗教に準えた作品は異教
徒にはなかなか難しいものだ。
公開は5月10日より、前回紹介の作品と共に「ニナ・メンケ
スの世界」という特集上映で東京地区はヒューマントラスト
シネマ渋谷他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社コピアポア・フィルムの招待で
試写を観て投稿するものです。
『ハピネス』
2002年に話題になった映画『下妻物語』の原作者としても知
られる作家・嶽本野ばらが2004年に発表した小説の映画化。
因に作家は「乙女のカリスマ」としてロリータファッション
界を牽引する存在だそうだ。
登場するのは高校生の男女。2人は美術部で知り合い共通の
話題もあって仲を深めて行くが、付き合いを始めてから1年
半後、彼女がある告白をしたことから怒涛の展開が始まるこ
とになる。
それは彼女が心臓に持病を持ち、状況から手術は不可能で、
その心臓の変調から彼女の余命があと1週間と医師に宣告さ
れたというのだ。そして彼女はその1週間で完璧なロリータ
となり、最高のカレーを食べたいと希望する。
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04月14日(日)
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