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On the Production
by 井口健二
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■ツィゴイネルワイゼン/陽炎座/夢二、映画(窒息)、マイ・ファミリー自閉症の僕のひとり立ち、アダミアニ祈りの谷
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ツィゴイネルワイゼン』
『陽炎座』
『夢二』
1923年生誕、2017年に他界した鈴木清順監督が1980年〜91年
に発表した「浪漫三部作」と称される3作品が、監督の生誕
100周年を記念して“SEIJUN RETURNS in 4K”として再上映
される。
この三部作に関しては、実は2011年11月の本ページでも紹介
しているが、この時にはBlu-ray+DVDの発売記念ということ
で恐らくは2Kでのディジタル化だったのかな。それを今回は
当時の撮影担当者も交えての本格的な4Kリマスタリングが行
われたものだ。
1作目は、内田百フ原作の「サラサーテの盤」他複数の短編
を基に、士官学校の教授とその無頼の友人、さらに2人が旅
先で出会った芸者やそれぞれの妻らの怪しげな交流が描かれ
る。
実は2011年の紹介では話が良く判らないと書いたが、今観直
してみるとそれなりに納得できる物語だった。これは自分の
理解力が上がったというより、最近の映画の傾向がそれに近
付いたという感じかな。つまり本作はそれを約半世紀も前に
先取りしていたということだ。
それは脚本家の田中陽造の凄さでもあるのだろうが、それを
目くるめくような映像も交えて描き切った清順監督の見事な
演出力でもあるのだろう。正に時代が追いついたという感じ
もしたものだ。
そして2作目では、泉鏡花の同名原作を基にこちらは劇作家
とそのパトロン、そして謎めいた女性との、こちらも妖しげ
な交流が描かれる。さらに本作では壮大な屋台崩しなど、映
像も豪華さを増しているものだ。
これに対して3作目は、2作目から10年を置いて製作された
ものだが、竹久夢二の実話を基に、男女の儚くも怪しい物語
が展開される。とは言うものの前2作ほどのインパクトは薄
れたかな。まあ俳優の物足りなさも感じてしまったが。
出演は3作通しての原田芳雄、大楠道代、麿赤児に加えて、
1作目では大谷直子、藤田敏八、樹木希林、真喜志きさ子。
第2作は松田優作、中村嘉葎雄、加賀まりこ、楠田枝里子、
大友柳太朗。
そして3作目には沢田研二、毬谷友子、宮崎萬純、広田玲央
名、長谷川和彦、坂東玉三郎らが登場する。
公開は11月11日より、東京地区は渋谷ユーロスペース他にて
全国順次ロードショウとなる。

『映画(窒息)』
助監督出身で2019年8月11日付題名紹介『いつかのふたり』
がデビュー作の長尾元脚本・監督による長編第2作。なお監
督はその間に撮った短編作品でジェーン・オースティン国際
映画祭2022にて最優秀監督賞を受賞したそうだ。
背景は近未来か遠未来かは不明だが、雑木林の中に建造物の
廃墟が残っているような世界。主人公はそんな世界の廃墟に
1人で暮らす女性。罠や先を尖らせた木の槍で小動物を捕え
て食料を得ているようだ。
そんな彼女の許には時折行商の老人が現れ、言語が失われた
らしい世界では、物々交換を身振り手振りで行っている。そ
してその日は、太陽光を集めて火種を得る凸レンズを干し肉
と交換で手に入れた。
それは彼女なりに充実した暮らしだったが…。ある日、白い
衣装の男に率いられた盗賊団が現れ、彼女のなけなしの財産
を奪って行く。その一方で彼女の前に若い男が現れ、彼女は
彼と共同生活を始める。
そんな暮らしが紆余曲折を経ながらで繰り広げられて行く。
出演は、2020年2月2日付題名紹介『パラダイス・ロスト』
などの和田光沙。相手役には2020年にオーディション番組で
最終2位になったという飛葉大樹。さらに仁科貴、寺田農ら
が脇を固めている。

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10月22日(日)
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