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On the Production
by 井口健二
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■インスペクション ここで生きる、アイスクリームフィーバー、破壊の自然史、キエフ裁判
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『インスペクション ここで生きる』“The Inspection”
2019年12月02日付題名紹介『ミッドサマー』などのA24製作
で、元海兵隊の映像記録担当という経歴を持つエレガンス・
ブラットン監督が、自らの体験を基に描いたとされる劇場映
画デビュー作。
主人公は黒人でゲイの若者。16歳の時に性癖を嫌った母親に
捨てられ、以来ストリートで一人で生きてきた。そんな主人
公が花束を持って母親を訪ねるところから物語は始まる。そ
の目的は、海兵隊に志願するため出生証明書が必要だったか
らだ。
こうして海兵隊に志願した主人公だったが、選考を突破して
やってきた基礎訓練キャンプ(ブートキャンプ)では想像を絶
する体験が彼を待ち受けていた。性癖や人種、肌の色や宗教
などありとあらゆる差別がはびこる中で、果たして主人公は
難関を突破することができるのか。
海兵隊(マリーンズ)が米軍最強の軍隊であることは知ってい
たし、それを支える訓練の厳しさも聞き及んではいたが、さ
らにそこに差別という避けて通れない問題が横たわる。それ
を目を背けることなく真摯に描き切った作品とも言えるだろ
う。「真実が宿った作品」という評価も納得できる。
出演は、本作で本年度のゴールデングローブ賞にノミネート
されたジェレミー・ホープ。他に2017年12月17日付題名紹介
『スリープレス・ナイト』などのガブリエル・ユニオン。ラ
テン系俳優のラウル・カスティーヨ。さらにマコール・ロン
バルディ、ボキーム・ウッドバインらが脇を固めている。
モスクワがキーウを攻めている今の時代に軍隊の内情を描く
のはなかなか難しいことだと思うが、本作ではそれを差別と
いう面から巧みに提示している。それは海兵隊という最も過
酷な訓練で知られる軍隊を背景にしたものでもあり、それで
も差別の現実を描き切ったことにも賞賛する。
そしてそれはほぼ全ての面で、それらを凌駕する感動で物語
を包んでいる。これは本当に見事な作品と言えるだろう。正
に人間の愛の心を描き切った作品と言えるものだ。なお映画
の中ではサム・メンデス監督の『ジャーヘッド』(2005年)が
引き合いに出されてもいた。これも…だ。
それにしても難しいテーマに果敢に挑戦する制作会社のA24
にも称賛を送りたいものだ。
公開は8月4日より、東京地区はTOHOシネマズシャンテ、新
宿武蔵野館他にて全国ロードショウとなる。

『アイスクリームフィーバー(ICЁ CЯEAM FEVER)』
H&Mなどの企業のブランディングや広告宣伝から桑田佳祐
のCDジャケットまで様々なデザインを手掛けるアートディ
レクターの千原徹也が、長年の夢の実現として制作した映画
監督デビュー作。
物語の中心は街角のアイスクリーム・ショップ。そこの雇わ
れ店長として働く菜摘は、元はデザイン業界にいたが軋轢か
ら仕事を止めて現職になった。しかし業界に戻ることも考え
始めている。
そんなショップに黒ずくめの衣装の女性がやってくる。その
女性が気になった主人公は言葉を交わすようになり、彼女が
デビュー作で文学賞を受賞したものの第2作の執筆ができな
いでいる作家だと判明するが…。
そしてもう1人、ショップの近所に住む一人暮らしの女性・
優の家に突然姪が訪ねてくる。その姪は生き別れの父親を捜
しに来たと言い、それは優にも関りのある話だった。そんな
優は近所の銭湯を癒しの場にしていたが…。
こんな女性たちの物語が展開されて行く。
出演は、吉岡里帆、モトーラ世里奈、松本まりか、南琴奈。

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06月04日(日)
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