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On the Production
by 井口健二
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■エスター/ファースト・キル、The Son 息子、ndjc:若手映画作家育成プロジェクト 2022
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『エスター/ファースト・キル』“Orphan: First Kill”
2009年9月13日紹介作品の13年ぶりの第2弾にしてその物語
の前日譚。
時代背景は2007年。エストニアの精神科療養所での惨劇から
物語は始まる。その療養所を巧み且つ凶暴な手口で逃亡した
「少女」は、隠れ家にしたオフィスのパソコンからアメリカ
で行方不明になっている少女の情報を入手する。そして容姿
が似ていたことを利用し、その少女に成りすます。
一方、アメリカ・コネティカット州に住む一家は4年前から
行方不明の娘エスターの探索を諦めかけていた。そんな一家
の許に捜査を担当していた刑事からエスター発見の報が飛び
込んでくる。そこで母親がエストニアまで迎えに行くが…。
それが惨劇の始まりだった。
前作は最後に鮮烈な展開が待ち受けていたが、本作もかなり
強烈な捻りが観客を唖然とさせてくれる。それは前作とは違
う方向性ではあるが、ある意味人間の心の闇を炙り出すよう
なものでもあり、より現実的になったとも言えるものだ。で
もこの点の賛否は意見が分かれるかも知れない。
しかし前作を下敷きにして、前作のファンをも唸らせる巧み
に描かれた作品であることは間違いない。
出演は2002年11月紹介『ボーン・アイデンティティー』以降
のシリーズにレギュラー出演しているジュリア・スタイルズ
と前作にも出演のイザベル・ファーマン。他に名優ドナルド
の息子のロッシフ・サザーランド、北海道出身でカナダで活
動するヒロ・カナガワらが脇を固めている。
前作の脚本家デヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴー
ルドリックが原案と製作総指揮を務め、脚本はNetflix 作品
などを手掛けるヴェヴィッド・コッゲシャル、監督は2013年
『ウェア破滅』などのウィリアム・ブレント・ベルが担当し
た。
物語もさることながら、本作で特筆すべきは前作と同じエス
ター役で登場するファーマンだろう。1997年生まれの女優は
前作を10歳で演じて世界を震撼させ、その後はM・ナイト・
シャマラン監督の作品などでも活躍しているものだが、今や
25歳となって同じ役、しかも前日譚を演じているのだ。
これにはファーマン自身が当時の面影を残していたことも重
要だったが、メイクアップや髪形などで7歳の少女に変身。
さらにコンタクトレンズや大きいサイズの小道具などを用い
てオリジナルの姿を再現している。とは言え終始中腰の演技
は大変だったようだ。
前作の紹介では2003年9月紹介『マッチスティック・メン』
との類似性を指摘したが、本作ではやり方は全く違うけれど
前々回に『マッシブ・タレント』の若返りFXを紹介したと
ころで、ニコラス・ケイジが毎回絡んでくるのも不思議な因
縁という感じだ。
公開は3月31日より、全国ロードショウとなる。
『The Son 息子』“The Son”
2020年の初監督作品『ファーザー』でオスカー脚色賞に輝い
たフランス生まれの劇作家フロリアン・ゼレールが、再度自
らの戯曲 “Le Fils”を脚色・監督、その脚本に惚れ込んだ
ヒュー・ジャックマンが製作総指揮・主演した作品。
ジャックマンが演じるのはニューヨーク在住で政界進出も視
野に入る敏腕弁護士。しかし家庭では妻と思春期の息子を置
いて若い女性の許に走った過去を持つ。そんな主人公が若妻
と幼い子供と暮らすマンションに元妻が訪ねてくる。そして
元妻は、彼の息子が学校に行っていないと告げる。
この報告に主人公は昔の住まいを訪ね、息子と話し合った結
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02月12日(日)
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