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On the Production
by 井口健二
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■WORTH命の値段、うつろいの時をまとう、Single8
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『WORTH命の値段』“What Is Life Worth”
2016年公開『スポットライト』でカトリック教会の闇に挑む
ジャーナリストの姿を描いた製作陣が、同作にも出演してい
た2017年4月30日題名紹介『ファウンダー』などのマイクル
・キートンを主演に迎えて、9・11直後の米合衆国で遺族らの
救済に尽力した人たちを描いた実話に基づく2020年本国公開
のドラマ作品。
2001年9月11日、弁護士のケン・ファインバーグはワシント
ンD.C.にある事務所に出勤途中の車窓から惨事によって立ち
上る黒煙を目撃する。
それから10日後、司法省の委員会に召喚された弁護士は惨事
に巻き込まれた被害者やその遺族に対して補償を行う基金へ
の協力を要請される。それは膨大な訴訟によって国家経済を
揺るがしかねない事態を回避するための政治的な思惑も関る
「汚れ仕事」だった。
そんな仕事を弁護士は無償で引き受ける。そこには先にアス
ベスト被害の補償基金にも関った実績に基づく確固たる自信
があったのだが…。自らが確立した収入金額に基き補償額を
算定する公式は、7000人にも及ぶ対象者の前に脆くも崩れ去
る。しかも各自の状況がことを複雑にしていった。
そんな中で弁護士は如何にして対象者の90%を超える人々の
信頼と納得を勝ち取ったのか。そんな弁護士とそのスタッフ
たちの奮闘が描かれる。
共演は2012年7月紹介『ハンガーゲーム』などのスタンリー
・トゥッチと、2010年2月紹介『グリーン・ゾーン』などの
エイミー・ライアン。他に2018年2月18日題名紹介『さよな
ら僕のマンハッタン』などのテイト・ドノバン、2019年6月
紹介『ジョナサン』に出演のシュノリ・ラーマナータンらが
脇を固めている。
監督はニューヨーク大学大学院映画学科出身のサラ・コラン
ジェロ、弁護士ケネス・R・ファインバーグの著作に基づく
脚本は2017年2月紹介『キングコング髑髏島の巨神』などの
マックス・ボレンスタインが手掛けている。
先週に3・11に関る『生きる』を観たばかりで本作を観ている
と、日米の被災した国民に対する補償の在り方の違いを突き
付けられる感じがしてくる。もちろん被害の原因や対象者も
異なり、一概に比較できるものではないが、適当なバラマキ
行政ではない、被災との向き合い方が異なる感じがしてくる
ものだ。
とは言っても、日本では先週の作品以外では原発の補償問題
ぐらいしか訴訟には至らないのだが、その辺の国民性の違い
も含めて、日本人がもっと考えなければいけないことを教え
られているような気のする作品だった。
公開は2023年2月23日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他
にて全国ロードショウとなる。
『うつろいの時をまとう』
服飾ブランド「matohu」を展開するデザイナーの堀畑裕之と
関口真希子を追ったドキュメンタリー。
大学で哲学を学んだという堀畑と法律を学んだという関口。
そんな2人が文化服装学院で出会い、それぞれが企業のパタ
ンナーとしてパリコレなどにも関った後にブランドを設立。
そこでは単なるデザインだけではない衣装が作られる。
映画は、matohuが8年間に亙って展開してきた「日本の眼」
と称するコレクションと、その集大成とも呼ぶべき2020年に
開催された展覧会を中心に、2人のデザイナーの思想やそこ
に纏わる人々の思いなどが語られる構成となっている。
そこには各コレクションに付された「かさね」「無地の美」
「ふきよせ」「ほのか」「かざり」「なごり」などの言葉と
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12月25日(日)
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