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On the Production
by 井口健二
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■少女は卒業しない、有り触れた未来、彼岸のふたり
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『少女は卒業しない』
2012年『桐島、部活やめるってよ』などの朝井リョウ原作の
映画化。この前作の公開年に『何者』という作品で直木賞を
受賞した原作者は青春小説の名手とも呼ばれているそうで、
本作の原作はその年に刊行されたものだ。
実は2012年の映画に関しては試写は観たもののここでの紹介
はしなかった。その理由は多分、年代的に半世紀も離れて、
僕がその時代の高校生を理解できなかったことに起因してい
たのだと思う。
その点に関して本作は卒業がテーマであり、理解の点では問
題はなかったかな。そんな中で4つの物語が着かず離れずの
展開で並行して進行し、最後にある事象によって纏まる構成
は、それなりに巧みに感じられるものだった。
とは言うものの、最後を盛り上げるための仕掛けとは言え、
この展開はあり得るのかな。もしこれが現実に行われたら、
あまりに無神経と言わざるを得ない。この無神経さが現代的
と言われればその通りなのかもしれないが。
僕にはその点が許せない気がしたが、実際に昨今のニュース
にもこのような無神経さは多々あるような気がして…。こん
なことが SNSの暴走などにも繋がっていると思うのは、考え
過ぎなのかな。
そんな訳では僕にはちょっと過激と思う結末の作品だった。
脚本と監督は、2016年の短編作品『カランコエの花』がレイ
ンボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭のグ
ランプリを受賞したという中川駿。本作は監督の初商業映画
作品となる。
出演は、2019年デビューでキネマ旬報ベストテン新人女優賞
など新人賞を総なめにした河合優美。2017年デビューで大河
『晴天を衝け』などの小野莉奈。2020年ソフトバンクCMで
しずかちゃん役の小宮山莉渚。「ミスiD2019」グランプリ受
賞の中井友望。
その相手役を2018年『泣き虫しょったんの奇跡』などの窪塚
愛流、2020年3月1日題名紹介『#ハンド全力』などの佐藤
緋美、2022年『仮面ライダーリバイス』などの宇佐卓真、そ
れに2019年11月24日題名紹介 『his』などの藤原季節らが務
めている。
公開は2023年2月23日より、東京は新宿シネマカリテ、渋谷
シネクイント他にて全国ロードショウとなる。
いろいろあるけどこれが現代の青春ということなのだろう。

『有り、触れた、未来』
2008年8月紹介『キズモモ』などの山本透監督が、総勢22人
の若手俳優らによるプロデューサーチーム【UNCHAIN10+1】
と共に企画、資金集めから手作りで作り上げた作品で、現代
に生きることをテーマとした群像ドラマ。
1人目の主人公は交通事故でバンド仲間だった交際相手を亡
くした女性。形見分けでギターとパソコンを受け取ったが、
未だに開くこともできずにいる。そんな彼女は新たな恋人と
の結婚を進めていたが…。
2人目の主人公は10年前の自然災害で祖父と母親と兄を亡く
した女子中学生。その時から腑抜けのようになった父親との
暮らしに耐えられなくなっている。そんな彼女は祖母と親友
の女子と担任教師に支えられてきたが…。
さらに将来に不安を抱えながら「魂の物語」に挑む若い演劇
人たち。そして30歳を過ぎてもプロボクサーの道を諦めきれ
ない男性や、娘の結婚式に出ることを目標に末期癌と闘う女
性など、様々な生と向き合う人々が描かれる。
出演は桜庭ななみ、碧山さえ、北村有起哉、手塚理美。他に
鶴丸愛莉、舞木ひと美、高品雄基、松浦慎一郎。さらに麻生
久美子、萩原聖人、原日出子、仙道敦子、杉本哲太らが脇を
固めている。

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12月11日(日)
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