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On the Production
by 井口健二
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■リキッド・スカイ、よだかの片想い
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『リキッド・スカイ』“Liquid Sky”
1940年モスクワ生まれで、1976年にニューヨークに移住した
スラヴァ・ツッカーマン監督が、その6年後の1982年に本作
の主演も務めているアン・カーライルと共に作り上げた当時
のカルチャーを色濃く反映したSF映画。
物語の舞台は貿易センタービルを遠望し、エンパイアステー
トビルを見上げるような位置に所在するアパート。その屋上
に小さなUFOが着陸する。そしてどうやら住人の様子を観
察しているようだが…。
そのアパートのペントハウスには1人の女性が住んでおり、
モデルの彼女はドラッグの売人でもあるようだ。そして彼女
の薬を狙うかのような男女も出入りしている。そんな様子が
鏡で反射してUFOに届いていた。
一方そのUFOを追って西ドイツの科学者が登場。科学者は
UFOを見張れる部屋に住む女性に取り入り、その部屋を監
視基地として観察を開始するが、その女性には他の思惑もあ
るようだ。
そんな展開が進む中で、性に奔放なモデルの彼女が連れ込ん
だ男がコトの最中に突然死。その死体の処理に困るが、次の
同じ状況ではその死体が消失してしまう事態となる。そこで
モデルの彼女はそれを復讐に利用し始める。
何ともはやというお話だが、そこにディスコなどの当時の風
俗や、ソラリゼーションなどの映像処理を混合して、ある種
独特の作品に仕上げている。正にカルトという感じの不思議
な世界観の作品だ。
製作、脚本、監督はツッカーマン、脚本はカーライルとの共
同で、さらに脚本にはアソシエイトプロデューサーのニーナ
・V・ケローヴァの名を連ねている。因にケローヴァは出演
も果たしている。
以前の公開でも観たはずだが、正直に言ってほとんど覚えて
いなかった。辛うじてソラリゼーションのシーンに朧げな記
憶がある程度だ。ただ今回観ていて意外と話は辻褄があって
いて、それなりかなという印象にはなった。
でもまあ時代を反映した、典型的なカルトムーヴィという感
じの作品だろう。それにしてもこれが『E.T.』と同じ年に
作られたとは…。
公開は9月17日から10月7日まで、新宿のK's cinemaで開催
される「奇想天外映画祭2022」の1本として上映される。
なお同映画祭では、1959年ジョルジュ・フランジ監督の『顔
のない目』や、1951年ルイス・ブニュエル監督の『昇天峠』
なども上映される予定になっている。
『よだかの片想い』
2017年8月6日題名紹介『ナラタージュ』などの島本理生の
原作を、2019年4月7日題名紹介『今日も嫌がらせ弁当』な
どの松井玲奈主演、2022年5月紹介『ビリーバーズ』などの
城定秀夫の脚本、本作が長編2作目の安川有果監督で映画化
した作品。
主人公は左頬に大きな痣のある女性。小学生の頃に揶揄われ
たことはあるが、それ以上にしっかりと自分を見つめて人生
を歩んできた。とは言うものの、人間関係や恋愛には一歩引
いてしまう。
そんな女性は大学の研究室で自分の研究に勤しんでいたが、
とある書籍に自らの経験を語ったインタヴューが掲載。その
表紙を彼女自身が飾ったことから人生が動き出す。それは今
まで封じていた恋愛へと繋がるが…。
共演は、2020年2月紹介『水曜日が消えた』などの中島歩、
新潟県出身で韓国に進出してキム・ギドク監督の映画にも出
ているという藤井美菜。さらに2016年4月紹介『秘密』など
の織田梨沙らが脇を固めている。
タイトルに関しては、劇中に宮沢賢治の書籍も登場して少し
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08月14日(日)
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