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On the Production
by 井口健二
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■ワン・セカンド 永遠の24フレーム、ぼくの歌が聴こえたら
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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ご無沙汰しました。ほぼ2年ぶりにホームページを更新し
ます。
最初にこの2年間のことを簡単に記して置くと、毎日は朝
7時ごろに起床し、天候の良い日は午前中に近所にある少し
広めの公園を1時間半ほどウォーキング。その後は読書か、
スマホ及びPCでゲームをして時間を過ごしておりました。
そしてこの間は、映画は1本も観ませんでした。
実際には、一昨年の夏ごろからは試写会も再開していたの
ですが、感染防止などの意味合いで完全予約制となっている
ものが多く、事前の手続きなどが煩雑で敬遠。またオンライ
ン試写なども行われていましたが、2020年5月31日付で報告
した3本以外は観ることを止めました。
これは映画はスクリーンで観るという固定観念に捉われた
ためでもありますが。実際にその際の記事を書きながら違和
感を拭えず。それ以降もオンライン試写の案内は多数いただ
きましたが、全て鑑賞はしませんでした。と言うより心情か
ら出来ませんでした。
そんな訳で2年間は全く映画を観ませんでしたが、ここに
来て感染状況も下げ止まりとは言え安定してきた感があり、
自分自身も3度目のワクチン接種を完了して市中に進出する
覚悟が出来たものです。なおサッカーの応援も3月末から参
戦しました。
それではこの作品から映画の紹介を再開します。
* *
『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』 “一秒钟”
2011年5月紹介『サンザシの樹の下で』などの名匠チャン・
イーモウ監督による2020年本国公開の中国映画。
時代は1969年、文化大革命末期の西域=砂漠地帯を舞台に、
移動上映される映画に映るわが子の姿を探す男性と、映画の
フィルムに執着する孤児の少女が交錯する。
本作は2019年2月のベルリン国際映画祭コンペティション部
門に選出されたものの、開催直前に「技術的問題がある」と
されて出品がキャンセルされたといういわく付きの作品だ。
物語は男が砂漠を歩いて上映が行われる村に辿り着くところ
から始まる。男は会場にやってくるが上映は終わった後、す
でにフィルムの搬出が行われていた。そんなフィルムを愛で
るように見ていた男だったが…。
搬出していた業者が目を離した隙に建物の陰から現れた子供
がフィルムの1巻を抱えて逃走。それを目撃した男はその後
を追い、砂丘で子供からフィルムを取り返すが、戻ると業者
は出発した後だった。
そこで男は次の上映が行われる会場までフィルムを届けよう
と砂漠を歩き始めるが…。再び登場する子供=少女と、上映
会場の映写技師も絡んで、当時の中国社会で翻弄される親子
を巡る問題が浮き彫りにされて行く。
出演は、2018年の主演作『オペレーション・レッド・シー』
が中国bPヒットを記録したチャン・イーと、本作オーディ
ションに高校生で選出された後は北京舞踏学院で学んだとい
う新星リウ・ハオツン。それに2017年『ミスタ・ノー・プロ
ブレム』で金馬奨最優秀主演男優賞受賞のファン・ウェイ。
脚本は、イーモウ監督とは2005年『単騎、千里を走る』でも
組んだことのあるヅォウ・ジンジーが共同で執筆している。
撮影は2002年『HERO』などイーモウ監督の武侠作品に協力し
てきたチャオ・シャオティンが担当した。
物語は映画フィルムという存在をど真ん中に据えた、正しく
僕のようなフィルム世代の人間の心を鷲掴みにする作品だっ
た。それは僕より2歳年下のイーモウ監督にも共通の思いな
のだろう。
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04月10日(日)
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