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On the Production
by 井口健二
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■センターライン、レプリカズ、ホモソーシャルD(マルリナ、バースデー・W、レゴムービー2、山懐に抱かれて、WE ARE LITTLE Z、リトル・F)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『センターライン』
愛知県出身、1987年生まれ。大学在学中に学内での映画制作
に参加。情報系の修士課程を修了後はソフトウェア技術者と
して企業で製品開発をしながら脚本を勉強。現在は仕事の傍
らインディペンデントの映画制作をしているという下向拓生
監督が、自らの脚本を映画化したSF色の濃い作品。
主人公は新任の検察官。本当は刑事部が希望だったが、配属
されたのは窓際の交通部。実は物語の時代背景は平成39年、
AIによる自動運転が一般の交通事情では、事故などの交通
系の事件はほぼ皆無だったのだ。
一方、AIに一定の人格を認める法律が制定され、AIを法
律で裁くことも可能になっている。しかしAIに罰を与える
ことは困難であり、幾つか発生した事案でも起訴猶予として
裁判には至っていなかった。
そこで主人公は、AI関連の事案で事件性を立証できれば、
それを実績として刑事部への転属が可能になると考える。そ
して一つの交通事故を取り上げ、ナヴィゲーションのAIを
相手に尋問を開始するが…。
AIの意識を人間の裁判で裁く。近い将来に日本も直面する
かもしれない、近未来の現実(?)が描かれる。
出演は主に舞台で活動している吉見茉莉奈。2018年10月紹介
『かぞくわり』などの星能豊。その他に舞台俳優の倉橋健。
2018年6月24日題名紹介『寝ても覚めても』などの望月めい
り。下向監督の前作にも関った上山輝らが脇を固めている。
下向監督は前作『N.O.A.』もスマホの秘書機能アプリが
暴走するというSF的な話だったようで、その作品で「福岡
インディペンデント映画祭2016」優秀作品賞など内外の映画
祭の受賞を果たしている。
そして本作では「福岡インディペンデント映画祭2018」グラ
ンプリに輝いたものだ。
自動車の自動運転システムが係るSFでは、アイザック・ア
シモフの『サリーはわが恋人』なども思い浮かぶものだが、
本作ではそこに至る謎解きなどにも巧みな展開があり、SF
と推理の両面が楽しめる作品になっている。
しかもその結末にSFならではの哀感を漂わせたのは、SF
ファンとして賞賛を贈りたいところだ。このシーンを観たこ
とで、監督はSFをちゃんと理解しているなと納得すること
もできた。
またAIの動作などには、ユーモアと過去のSF作品へのオ
マージュのようなものも感じられた。これもSFファンには
嬉しいところだった。
最近の日本映画では、SFとして納得できるものも増えてい
るが、さらに本作ではSFならではと言える展開もあって、
増々期待が盛り上がってきたものだ。
公開は4月6日から映画の舞台となった愛知県での先行上映
の後、東京では4月20日より、池袋シネマ・ロサにてロード
ショウとなる。さらに全国でも観て貰いたい作品だ。
『レプリカズ』“Replicas”
キアヌ・リーヴスが禁断の技術に挑む科学者に扮して、近未
来に起こりうるドラマを描いた作品。
物語の舞台は、米国自治連邦区プエルトリコに建つ研究所。
そこで主人公は妻と3人の子供と共に優雅に暮らしながらあ
る研究に没頭していた。それは死亡した人間の頭脳から記憶
を取り出し、それをロボットに移植するというもの。
その研究はラットや猿のレヴェルでは成功していたのだが。
人間では移植までは成功しているものの、覚醒した脳は激し
い拒否反応を示して暴走するなど、完成の目前で足踏み状態
が続いていた。
そして私企業体であるらしい研究所の所長からは、次の実験
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03月03日(日)
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