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On the Production
by 井口健二
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■ndjc:若手映画作家育成、シー・ラヴズ・ミー(波乗りオフィス、福島は語る、マックイーン、ドント・ウォーリー、新宿タイガー、COLD WAR)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2018・合評上映会』
文化庁の事業として2006年から行われている若手監督の育成
プログラムで、2018年度に選ばれた5人の監督による作品の
上映会を初めて見学させてもらった。
選考の経緯は、昨年5〜6月に映画関連の連盟や映画祭、学
校等の各種団体からの推薦が受け付けられ、今回は80人の応
募者の中から15人が書類選考されて8月にワークショップを
実施。そこでは専門家の指導の許、同じテーマによる5分間
の短編を制作し、その結果5人が選ばれたとのことだ。
その5人に対して、8〜10月に脚本開発、10〜12月に撮影、
12〜1月に仕上げのスケジュールで、35oフィルムを使って
25分以上30分以内の作品が製作された。その作品が今回上映
されたものだ。さらに各作品の上映後には、それぞれ監督及
び出演者によるトークショウも行われた。
「サヨナラ家族」
脚本・監督の眞田康平は、1984年生まれ、東京藝術大学大学
院映像研究科監督領域修了。その修了作品「しんしん」は劇
場公開の実績もある。出演は石田法嗣、根岸季衣、村田唯、
土居志央梨、佐野和宏、斎藤洋介。
主人公は父親の一周忌で帰省した男性。父の死を受け入れ切
れていない彼の目には、いろいろ怪奇な現象が見えている。
巻頭、斎藤のホラーっぽい演技が良くて、これは…と思わせ
たが、その後は凡庸かな。上映後のトークでは、監督自身が
実父の死に際して思いついた話のようだ。それは僕も自分の
父の死に対してはいろいろ思ったところはあったが、自分が
還暦も過ぎて棺桶に片足突っ込んでいるような立場だと、そ
の想いを共有することがあまりできなかった。
「うちうちの面達(つらたち)は。」
脚本・監督の山元環は、1993年生まれ、大阪芸術大学映像学
科卒。その卒業制作「ゴロン、バタン、キュー」がPFF アワ
ード2015で審査員特別賞と神戸賞を受賞してる。出演は田中
奏生、田口浩正、濱田マリ、小川未祐、山元駿。
登場するのは父親と姉弟の3人家族。実は2週間前に夫婦喧
嘩で母親が家出、父親はその行き先の見当もついていない。
しかし13歳の弟は母の居場所を知っていた。2016年4月紹介
『団地』を少し思い出すところもあったが、本作の舞台は一
戸建てでさらに大掛かりなものだった。濱田の特技を生かし
た演技も見所だが、ここはもう1回逃げ切って欲しかったか
な。でもそれでは上映時間が超過だったのだろう。奇想天外
というか、現実にもありそうだが、かなり意表を突いた展開
は充分に楽しめた。
「くもり ときどき 晴れ」
脚本・監督の板橋基之は、1976年生まれ、法政大学文学部日
本文学科卒業。フリーのディレクターとしてCMやドキュメ
ンタリーなどを手掛け、2016年初監督の短編「おべんとう」
は世界各地の映画祭で上映・受賞している。出演はMEGUMI、
浅田美代子、水橋研二、有福正志。
母親と2人暮らしの主人公の許に、25年前に生き別れた父親
の生活保護扶養照会が届く。その通知に別に所帯を持つ兄と
母親は冷淡な対応だったが、主人公には父親に対する悪感情
はないようだ。そんな父親は元金属加工職人で、その口癖は
「設計図通りに生きろ」だった。そして主人公はその父親に
会いに行くが…。痴呆の進んだ父親は娘が名乗っても何の反
応も示さなかった。家族の機微は巧みに描かれた作品だ。た
だし結末の1カットシーンは少し違う感じがした。
「はずれ家族のサーヤ」
脚本・監督の岡本未樹子は、1984年生まれ、大阪芸術大学映

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02月10日(日)
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