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On the Production
by 井口健二
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■不能犯
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『不能犯』
2015年5月紹介『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!』などを
手掛け、2016年6月紹介『貞子vs伽椰子』では遂にメジャー
デビューを果たした白石晃士監督が、松坂桃李、沢尻エリカ
を主演に迎えたサスペンス作品。
松坂が演じるのは「電話ボックスの男」と呼ばれる殺人鬼。
とある公園に置かれた電話ボックスに殺人の依頼を書いた紙
を貼ると、その男が実行してくれるのだという。そして彼に
狙われた者は確実に死亡するが、その死因は病死や自殺、事
故死など、いずれも殺人が立証できないものだった。
一方、沢尻が演じるのは女刑事。彼女は男の犯行がマインド
コントロールによるものと知り、その犯行を立証せんと奮闘
するが、男はなかなか尻尾を掴ませない。それでも何とか身
柄を確保して任意での事情聴取を始めるが。その席でも男は
尋問する刑事を術中に嵌めてしまう。
しかしその席で、女刑事には男のマインドコントロールの利
かないことが判明する。斯くして女刑事と男との全面対決が
進んで行くことになるが。その時、事態は新たな局面を迎え
ようとしていた。
共演は、2017年2月19日題名紹介『ピーチガール』などの新
田真剣佑、2017年9月3日題名紹介『全員死刑』などの間宮
祥太朗。他に芦名星、矢田亜希子、安田顕、小林稔侍らが脇
を固めている。
作品は、宮月新原作、神崎裕也作画により集英社『グランド
ジャンプ』にて連載中のコミックスに基づくもので、その脚
色は白石監督と、2013年12月紹介『仮面ティーチャー』など
の山岡潤平が手掛けている。
映画の中には催眠術の記録映像なども挿入され、物語が現実
に起こり得るものとして描かれている。その現実と虚構の狭
間が上手く表現された作品だ。しかもそこに白石監督得意の
ホラー演出が施され、そのバランスも良く描かれている。
特に殺人鬼による犯行は、オカルトホラーのような趣で演出
され、そこから現実に引き戻される瞬間が観客にも同時に味
わえるもので、これは新たなサスペンスの手法としても注目
しておきたい。
因に白石監督に関しては、以前からSF的な指向にも注目し
ていたが、本作ではオカルトを科学に接近させたとも取れる
もので、本作の続編も含めて今後の作品にも大きな期待を寄
せる。
それにしても、『コワすぎ!』シリーズでは自らも出演して
正に低予算を絵に描いたような作品だったが、その白石監督
がこの様に立派な作品を作るようになるとは…。正に我が子
の成功を見るような嬉しさも感じてしまった。
公開は2018年2月1日より、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』
        “Twin Peaks: Fire Walk with Me”
(1990年代初頭に日本でも放送され、一世を風靡したとも言
えるテレビドラマ。その放送終了の翌年に原案者のデヴィッ
ド・リンチ監督により発表されたシリーズの前日譚に当る作
品。当時に観ているかどうかは記憶が定かでないが、今観る
と当時のテレビシリーズのことも思い出され、中々興味深い
作品になっていた。特に細かい描写が記憶を呼び覚まして、
シリーズをもう一度観たくなるものだ。出演は、シェリル・
リー、ヘザー・グラハム、カイル・マクラクランらが同じ配
役で登場の他、キーファー・サザーランド、デヴィッド・ボ
ウイらが新たに参加。公開は9月30日より、「デヴィッド・
リンチの映画」と題されたシリー上映の1本として、東京は
角川シネマ新宿他にて全国順次ロードショウ。)
『エキストランド』
(近年、全国的に広がりを見せるフィルムコミッションを題

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09月17日(日)
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