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On the Production
by 井口健二
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■第25回フランス映画祭、パワーレンジャー
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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6月22日〜25日に、東京・有楽町朝日ホール/TOHOシネマズ
日劇で開催される第25回フランス映画祭で上映される作品の
試写が開始されたので、今回はその中から4本を紹介する。

『エタニティ 永遠の花たちへ』“Éternité”
2009年7月紹介『ココ・アヴァン・シャネル』などのオドレ
イ・トトゥ、2012年2月紹介『アーティスト』などのベレニ
ス・ベジョ、2010年2月紹介『オーケストラ!』などのメラ
ニー・ロラン共演で、三代100年に亙る悲哀に満ちた一族の
歴史を描いた作品。フランスの作家アリス・フェネル原作の
映画化で、監督は1993年『青いパパイヤの香り』でアメリカ
アカデミー賞外国語映画部門にノミネートされたフランス在
住のヴェトナム人監督トラン・アン・ユン。一見幸せそうな
一家だが、その歴史は多数の死に彩られている。それは病や
事故など様々な原因で次々に一族を襲う。豪華女優陣の共演
で画面は泰西名画のように華やかだが、その現実との落差が
強烈に感じられた。男女で評価の異なる作品かも知れない。
映画祭では6月25日に上映、一般公開は今秋に東京はシネス
イッチ銀座他でロードショウとなる。

『ポリーナ、私を踊る』“Polina, danser sa vie”
ボリショイバレーで学ぶ若き女性ダンサーが自らの理想を求
め彷徨い成長して行く姿を描いた作品。バスティアン・ヴィ
ヴェス原作の映画化で、監督にはドキュメンタリーも手掛け
るヴァレリー・ミュラーと、コンテンポラリーのコレオグラ
ファーで多数の受賞に輝くアンジュラン・プレオカージュが
共同で当っている。主演は本作でデビューを飾ったアナスタ
シア・シェフツォア。その脇を2013年2月紹介『コズモポリ
ス』などのジュリエット・ビノシェらが固めている。2017年
4月30日題名紹介『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン』と内
容が符合することに驚いた。特にロシアにおけるバレリーナ
の状況などは、先にドキュメンタリーを観ていたお蔭で充分
に理解ができた。これは併せて観ることをお勧めしたい。映
画祭では6月25日に上映、一般公開は10月28日より、東京は
ヒューマントラストシネマ有楽町他でロードショウとなる。

『あさがくるまえに』“Réparer les vivants”
1人の若者の死から始まるヒューマンドラマ。その若者は夜
明け前に恋人のベッドを抜け出し、友人と共に浜に向かう。
そしてサーフィンに興じた若者を悲劇が襲う。斯くして脳死
状態になった若者に回復の見込みはなく、病院は両親に移植
のための臓器の提供を依頼する。という物語が、医師や移植
コーディネーター、さらには移植を待つ患者など多角的な視
点で描かれる。こう書くとかなり事務的な展開のように感じ
られるかもしれないが、作品は実にヒューマニズムに溢れた
素晴らしい作品になっている。実際に僕は観終えて臓器提供
の意思表示をする気にもなったものだ。文学賞にも輝いたメ
イリス・ド・ケランガル原作の映画化で、監督は注目の女性
監督カレル・キレヴェレが担当した。映像も素晴らしい。映
画祭では6月23日に上映、一般公開は9月16日より、東京は
ヒューマントラストシネマ渋谷他でロードショウとなる。

『セザンヌと過ごした時』“Cézanne et moi”
サント=ヴィクトワール山の連作などで知られるポスト印象
派の画家ポール・セザンヌと、映画ファンには1952年『嘆き
のテレーズ』や1956年『居酒屋』の原作者として知られる文
豪エミール・ゾラの交流を描いた作品。富豪の息子セザンヌ
とイタリア人移民の息子ゾラは幼い頃からの親友だったが、
セザンヌ画家の道を進むために親に勘当され、ゾラはいち早

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05月14日(日)
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