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On the Production
by 井口健二
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■太陽、ローカル路線バス乗り継ぎの旅in台湾 THE MOVIE、ボーダーライン、女が眠る時
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『太陽』
2011年に第63回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した前田
知大の戯曲を、2012年3月紹介『サイタマノラッパー3』な
どの入江悠監督が映画化した作品。
物語の背景は、21世紀の前半に発生したウィルス疾患により
人類の多くが死亡した世界。その疾患を克服した新人類と呼
ばれる人々は太陽の下では暮らせない身体となったが、人類
の遺産を引き継ぎ科学技術に基づく社会を構築していた。
その一方で、今も疾患に怯えながら生き長らえている人々も
存在した。しかし旧人類と蔑称される彼らは独自には社会を
維持することができず、新人類から支給される物資に頼って
ようやく生活ができる程度だった。
そんな旧人類である主人公の暮らす村は、新人類の暮らす領
域とフェンスを隔てただけの場所にあったが、過去に起きた
新人類への反抗によって物資の支給が制限されていた。その
制限がようやく解除されることになったが…。
出演は、2015年12月紹介『TOO YOUNG TO DIE!』などの神木
隆之介と、2014年1月紹介『愛の渦』などの門脇麦。他に、
2011年2月紹介『高校デビュー』などの古川雄輝。さらに村
上淳、古舘寛治、鶴見辰吾、中村優子らが脇を固めている。
太陽の下では暮らせないという設定はヴァンパイアなどでは
定番だが、実際の難病などもあって現実的な物語と言えるの
かもしれない。そんな中で本作は、それをSFの設定として
見事に物語を構築しているものだ。
前田が主宰する劇団イキウメでは、以前からSF的な題材を
多く取り上げているそうだが、ここに展開されているSFの
世界観はかなり完璧に作られている。実は日本人の演劇系の
SF作品には偏見があったが、これはしっかりしていた。
しかもそこには様々なSF的なギミックなども散りばめて、
これはSFとして納得できる作品に仕上げられていた。因に
映画化は前田と入江の共同脚本となっており、VFXも絡め
たアイデアが入江なら今後も期待したくなる。
特に映画の前半に登場する新人類の日光浴シーンは掴みとし
ても面白いし、そこからのVFX処理も気に入ったものだ。
一方、物語の全体では古館が演じる父親役が巧みで、物語の
終盤の別れのシーンには、世界観が見事に集約されていた。
映画の全体に関してはいろいろな意味でのバランスも良く、
この様な作品が作られただけでも、SFファンとして賞賛を
贈りたくなるような作品だった。物語の最後に描かれる希望
と共に、新しい光が見えてきたような感じもした。
まだ1月だが、今年のSF映画のbest1に選んでも良い作品
だ。
公開は4月23日より、東京は角川シネマ新宿、池袋シネマ・
ロサ、渋谷ユーロスペース他にて、ロードショウとなる。
『ローカル路線バス乗り継ぎの旅in台湾 THE MOVIE』
太川陽介と蛭子能収のレギュラー+女性タレントの出演で、
テレビ東京をキー局に2007年に開始され、すでに第21弾まで
放送されているというヴァラエティ番組の劇場版・海外編。
テレビ番組は最近になって何作か観ているが、番組の設定は
3泊4日の日程でロケ開始地点から指定された目的地まで、
高速バスは使わずにローカル路線バスのみの乗り継ぎで到達
するというもの。その様子が同行取材で描かれる。
そして今回は番組初の海外ロケということで、台湾北部の首
都台北から、最南端の鵝鑾鼻岬を目指すというもの。因に台
湾はローカルバスが発達しており、路線図上は可能のような
のだが…、その日は台湾に巨大台風が接近していた。
果たして3人は無事に目的地に到達できるのか。
僕自身、サッカーの応援では東京から九州まで夜行バスで行
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01月24日(日)
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