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On the Production
by 井口健二
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■パパ遺伝子組み換えってなぁに?、マッド・ナース/ブライド・ウェポン/ニンジャ・アベンジャーズ
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』“GMO OMG”
日本では使用表示が義務付けられている遺伝子組み換え作物
に関して取材したドキュメンタリー。
原題のGMOとはgenetic modified organisms(遺伝子組み
換え生物)の略称で、本来的に作物に関してはgenetically
modified cropsの方が正しいものだが、合衆国を含め世界的
にもGMOの略称が通っているようだ。
そんなGMOに関して本作では、監督の息子が種子マニアと
いう設定でGMOに由来する種子の現状が紹介され、GMO
の巨大企業モンサント社が同社の製品を巡って世界中で展開
している所業などが報告される。
その一方で、GMOによって駆逐されそうになっている世界
の種子の保存を行っている組織などの紹介や、ノルウェー領
スヴァールバル諸島にある世界種子貯蔵庫の現地取材なども
織り込まれている。
ただ、作品全体としてはテーマが多岐に亘り過ぎてちょっと
散漫な印象かな。特にGMOの問題点に関しては、2009年に
フランスで行われたという実験の話が紹介されるが、これは
何となく歯切れが悪い感じがした。
因にこの実験に関しては、一昨年に公開の『世界が食べられ
なくなる日』でも紹介されていたが、そのドキュメンタリー
は問題点を原発に絡めて妙な色彩が付いていたもので、僕は
試写は観たが紹介に踏み切れなかったものだ。
さらに本音を言えば、日本では使用表示が義務付けられてい
るGMOが合衆国では現状野放しという状況があって、本作
はそれに対する警鐘の意味が強いようだ。その点は申し訳な
いが日本は部外者の話とも言える。
ただここでモンサント社の所業に関しては、早晩日本の行政
への圧力もあり得る話で、現実に今年1月に厚労省が発表し
た安全性に関するリストで、確認されたとする製品の大半が
モンサント社製という事実は考えてしまう。
個人的には僕自身が以前に特許業界にいて、モンサント社の
種苗特許を巡る係争での悪辣なやり方や、さらにそれを押し
通す強引さにも驚いたもので、その辺はもっと追求して欲し
かったところでもある。
いずれにしても問題は将来に繋がっているものであり、監督
には今後もこの問題を追及して行って欲しいと思うところ。
次回作に期待したい。
監督は、2010年に“Dive!”という作品が映画祭で受賞して
いるジェレミー・セイファート。前作に続いて製作、編集も
兼ねていて、本作は彼の第2作のようだ。
公開は4月25日から、東京は渋谷アップリンク、名古屋名演
小劇場ほかで、全国順次上映となる。
ところで原題“GMO OMG”の前半は上記の通りの略称だが、
後半はoh my Godの略だそうで、これは成程と思わされた。
『マッド・ナース』“Nurse 3D”
『ブライド・ウェポン』“In the Blood”
『ニンジャ・アベンジャーズ』“Ninja:Shadow of a Tear”
昨年12月に紹介した『余命90分の男』など49本が上映される
「未体験ゾーンの映画たち2015」のように、近年冬場の映画
館ではいろいろな特集上映が組まれている。
今回紹介するのは、その「未体験」に続きヒューマントラス
トシネマ渋谷で上映される「RED BAND」という特集の3本。
第1弾の『マッド・ナース』は、猟奇殺人鬼の看護婦が悪人
と思われる男たちを、魅惑的な姿態で次々に誘い出しては殺
害するというお話。因に、医療関係者が殺人に拘る確率は一
般人より高いそうで…
実は「RED BAND」の中で試写が行われたのは本作だけで、後
はサンプルDVDで鑑賞させて貰った。ところがこの唯一試
写の行われた作品が、僕が話した年配の評論家たちにはかな
り不評だった模様。
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02月15日(日)
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