ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459919hit]
■クレヴァニ愛のトンネル、余命90分の男
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『クレヴァニ、愛のトンネル』
2011年9月に『カリーナの林檎〜チェルノブイリの森〜』を
紹介した今関あきよし監督の新作。
物語の始まりは20年前、新任の高校教師だった主人公は教え
子との禁断の恋に陥る。しかしその恋は報われず、教師の道
も外れた主人公は、今では町の工場でひとり働いていた。
そんな主人公は、教え子が伝えた「愛のトンネル」のことを
思い続けていた。ウクライナにあるそのトンネルは、一日に
一本だけ通るという列車に遭遇すると、愛の奇跡が起きると
信じられていたが…
お話は有りがちなものだが、現地ロケされたトンネルの風景
が美しく、また随所にSFやファンタシーに理解のある監督
の「らしさ」もあって、観ている間は存分に楽しめた。
ただSF/ファンタシーに拘っている分、多少説明的な描写
が多くなってるかな。それは僕らには納得できて満足だが、
一般の観客には却って判り難くしてしまう面もあるようだ。
これがSF映画のディレンマだと僕は思っているところだ。
出演は2013年11月紹介『赤々煉恋』に出ていた小山田将と、
今年8月公開『思春期ごっこ』などの未来穂香。実は未来の
作品は6月に試写を観たが、僕が紹介する類の作品ではない
と思い割愛していた。
他に、板尾創路らが脇を固めている。
前作は、ウクライナの北部地域を舞台にした作品だったが、
本作の舞台はウクライナの西部。Google地図で確認すると、
首都キエフの真北に位置する原発事故現場に対して、本作の
舞台は首都から真西に約350qの距離のようだ。
そこでどのような経緯からこの作品のアイデアが生まれたの
かは不明だが、正に10年前の置き土産がここに開花したよう
な作品だ。10年掛かった『カリーナの林檎』の公開の後で、
重荷を降ろしたような作品かも知れない。
公開は2015年2月21日から、東京は新宿K's cinemaでレイト
ロードショウが予定されている。
なお今回の記事を書くに当って『カリーナの林檎』のことを
調べていたら、今関監督とイラストレーター水野歌の共同監
督による『SACRIFICE〜水の中のカリーナ〜』という11分の
アニメーション作品に行きついた。
作品はチェルノブイリで撮影された無人の街の風景に人物を
アニメーションで合成したもので、正に『カリーナの林檎』
の続編になっている。作品はYoutubeにもアップされている
ので、興味のある方はご覧になってください。
『余命90分の男』“The Angriest Man in Brooklyn”
8月に亡くなったオスカー俳優ロビン・ウィリアムスの最後
の主演作とされる2014年の作品。なお出演はこの後に、3作
に亙ってセオドア・ルーズベルト大統領を演じた“Night at
the Museum: Secret of the Tomb”が控えているようだ。
元々は1997年に発表された“The 92 Minutes of Mr. Baum”
というイスラエル映画があるようで、本作はそのハリウッド
リメイクとなる。その物語の主人公はニューヨークに暮らす
1人の男性。そこそこの地位にあるようだが、頭に血が昇り
やすい性格で周囲からは疎まれているようだ。
そんな男が人生最悪の日を迎える。病院で自分が不治の病と
知らされたのだ。その宣告に男の怒りは爆発し診断した女医
に食って掛かる。ところがその女医も苛々の最中で、思わず
「余命は90分」と告げてしまうのだが…
怒り心頭のまま街に飛び出した男は「怒りは余命を縮める」
という女医の最後の言葉にふと我に返り、今まで怒りをぶつ
けてきた家族や関ってきた人々に償いをしようと思い立つ。
しかしそれは簡単には受け入れて貰えないことだった。
その頃、冷静に戻った女医は自分の発言の重大さに気付き、
[5]続きを読む
12月28日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る