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On the Production
by 井口健二
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■フランス映画祭2014
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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 6月27日から30日まで、東京は有楽町朝日ホール及びTOHO
シネマズ日劇にて開催される「フランス映画祭2014」の上映
作品の試写が行われたのでまとめて紹介する。
        *         *
『グレート デイズ! ―夢に挑んだ父と子―』
               “De toutes nos forces”
事前の案内では『フィニッシャーズ』という仮題で紹介され
ていたが、日本公開も8月に決定している作品で邦題が上記
になったものだ。
トライアスロン、その中でも最も過酷なアイアンマンレース
(スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km)に挑戦した父
子の物語。しかもその息子は障害者で、スイムはボート、バ
イクはタンデム、ランは車椅子での参加となる。
元々はアイアンマンレースの選手だった父親。しかし障害を
持った息子が誕生し、レースをあきらめてケーブルカー保守
の仕事に就く。ところが息子が思春期を迎えたころ、父親は
失業し、人生に向き合うことができなくなってしまう。
そんな父親の姿に不安と不満が鬱積する息子は、父親に人生
を取り戻させるため、アイアンマンレースに参加することを
要望する。だがそれは、特に高速で疾走するバイクでは死の
危険も伴う危険な挑戦だった。
オリンピック種目でもあるトライアスロンは、自分が応援し
ているチーム組織にも所属選手がいる関係でそれなりの興味
を持って観た。でも障害者の息子は父親におんぶにだっこな
だけで、最初は我儘にも見えたものだ。
でもそこからの展開が実に巧みで、後半はまさに感動の物語
になって行く。これは上手い作品だなあと感心も頻りの作品
になっていた。
因に上記の仮題は所定時間内にゴールに到達した選手に与え
られる称号で、アイアンマンではこれこそが名誉とのこと。
実はここで編集ミスに気付いたが、映画にはそれを超えての
感動がある。その辺の描き方も見事だった。
映画祭のオープニング作品。8月からの一般公開は、東京は
TOHOシネマズ日本橋ほかで、全国順次の上映となる。

『イヴ・サンローラン』“Yves Saint Laurent”
時代を変えたとも言われる伝説のファッションデザイナーの
姿を描いた作品。この作品は初めてYSL財団の公認を得て
製作されたものだそうだ。
クリスチャンディオールの許で道を歩み出した若者は、師匠
の死後、若くしてその遺志を継ぐことになる。そして頭角を
現したデザイナーはやがて自らのブランドを立ち上げ、それ
を世界的なブランドに築き上げて行く。
そんな天才デザイナーの姿を、彼に思いを寄せるトップモデ
ルの存在や彼自身の性癖なども赤裸々に描写しながら、その
生涯を描き上げて行く。しかもそこには財団の全面的な協力
の許、当時のファッションが全て現物で登場するものだ。
とは言うものの、当時を覚えているその目でここに登場する
ファッションを見ていると、ファッションに疎い男の目にも
やはり時代の変化は感じられるもので、それがまたファッシ
ョンの歴史を見る上では貴重な作品とも言えそうだ。
その一方で彼の性癖に関する描写では、これを財団がよくも
公認したものだと驚くほどの実像が描かれており、これも時
代の変化かなあとも感じてしまう。それを平気で描けるほど
に文化として定着したのかな。
もっとも日本のファッション評論家と称している中にもそれ
を装っている連中が多いが、本作を観ているとその本質の違
いは如実なもので、猿真似ではない実像が描かれているとも
言えそうな作品だ。
一般公開は9月6日より、東京は角川シネマ有楽町、新宿武
蔵野館、シネマライズ他、全国ロードショウとなる。


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06月15日(日)
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