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On the Production
by 井口健二
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■ペーパーB、ディアトロフI、アップサイドダウン、イントゥ・ダークネス、アイス、エンド・オブ・W、パニック・マーケット、I・ベルイマン
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『ペーパーボーイ真夏の引力』“The Paperboy”
ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコ
ノヒー、ジョン・キューザックの共演で、1969年のアメリカ
南部を背景にした人間ドラマ。
物語の始まりは、差別主義者の白人保安官が何者かに刺殺さ
れたというもの。そして1人の男が逮捕され、さしたる物証
もないまま死刑の判決を受けた。
そして主人公は、その事件の起きた南部の町で父親の経営す
る地方新聞社に勤める青年。彼は元は水泳選手だったがある
事情で競技を断念し、以来悶々とした生活を送っている。そ
こにフロリダで新聞記者として活躍する兄が帰ってくる。
その兄の目的は死刑判決が冤罪との投書を得て、その真偽を
確かめるというもの。そして投書の主の女性も現れ、兄の運
転手をすることになった主人公と共に、事件の真相を暴いて
行くことになるが…
1969年というのはキング牧師が暗殺された翌年とのことで、
まだまだ人種差別の根強いアメリカ南部を舞台に、沼地に暮
らすワニ漁師の生態などの異様な風景も挟みながら、奥深い
人間の性が描かれて行く。
4月に紹介した『欲望のバージニア』もそうだったが、日本
とは全く違う文化に彩られた作品で、それはその状況を理解
するだけでも観客に覚悟が必要な作品かもしれない。しかし
その文化の違いを興味深く観られるのも映画の面白さだ。
そしてそんな状況に振り回される主人公の姿を、2008年11月
紹介『ハイスクール・ミュージカル』などのザック・エフロ
ンが、今までの作品とは全く違う雰囲気で演じ切っている。
監督は、2009年『プレシャス』でオスカーノミネートを果た
したリー・ダニエルズ。本作は1995年に発表されて文学賞な
どにも輝くピート・デクスターの原作から、監督は原作者と
共同で脚色も手掛けている。
共演は、今年1月紹介『アウトロー』などのデヴィッド・オ
イェロヴォ、1983年『ライトスタッフ』などのスコット・グ
レン。他にシンガーソングライターでもあるメイシー・グレ
イ、テレビ女優のニーラ・ゴードン、『トワイライト』など
のネッド・ベラミーらが脇を固めている。
題材的には取っ付き難い作品かもしれないが、観れば興味も
湧いてくるし、人間ドラマはかなり深くて面白い。正にアメ
リカの一面を描いている作品で、これこそが映画を観ている
感じのしてくるもの。普段は馴染みのないアメリカ南部の風
物も興味津々で楽しめた。
日本公開は7月27日から、新宿武蔵野館ほかで予定されてい
る。
『ディアトロフ・インシデント』
“The Dyatlov Pass Incident”
2008年12月紹介『ザ・クリーナー』などのレニー・ハーリン
監督が、ロシア系と思われる映画プロデューサーの依頼を受
けて、1959年当時のソビエト連邦ウラル山脈で起きた事件に
インスパイアされた物語を映画化した作品。
1959年の事件はWikipediaなどの情報によると、ウラル山脈
北部で「死者の山」と呼ばれる場所にスキー登山に向かった
大学生らの一団が遭難したというもの。ところがその死の状
況に不審な点が多く、さらにその後の数年に亙ってソビエト
政府がその近辺を立ち入り禁止にしたことから様々な憶測を
呼んだようだ。
そして映画の物語は、現代を背景にアメリカ人の大学生がそ
の事件の謎を検証しようと現地に向かうところから始まり、
その多くの部分は彼らが撮影したとされるヴィデオの映像に
よって構成されている。因にこの映像もロシア政府は公開禁
止としたが、密かにネットにアップされたという設定だ。
という、如何にも最近の映画に有り勝ちな展開で進む作品だ
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06月30日(日)
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