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On the Production
by 井口健二
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■アンノウン、ドリーム・ホーム、狂乱の大地、Peace、アベック・パンチ、レッド・バロン、ファースター、薔薇とサムライ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『アンノウン』“Unknown”
前々回『クロエ』を紹介したリーアム・ニースン主演による
サスペンスミステリー。アメリカでも今年2月に公開された
ばかりの最新作で、日本では当初『身元不明』という題名の
予定だったが、時節柄変更されたものだ。この程度の変更は
仕方ないだろう。
主人公は、アメリカ人のバイオテクノロジー学者。妻と共に
ベルリンで開催される学会に出席のため空港に降り立つ。そ
してタクシーで市内のホテルに向かい妻をフロントに行かせ
るが、そこでバッグの紛失に気づき空港へと引き返す。
ところがその道で事故が起き、彼は4日間意識不明となる。
しかも意識を回復してホテルに戻ると、そこにいた妻は別の
男と夫婦として滞在しており、彼に会っても知らないと言わ
れてしまう。その上、彼は自らの身元を証明するものを一切
持っていなかった。
自分が身元不明になったら最後の拠所は妻だろう。その妻に
知らないと言われたら、これは正に究極の身元不明人という
感じの展開だ。しかも謎はこの後にも次々に発生し、それは
主人公の助けになったり、さらに謎を深めたり…
そんな無数に発生する謎が、最後に一気に解決する。しかも
それを主人公のほぼ一人称で描き切る。それは全くお見事…
としか言いようのない展開の作品だった。
共演は、ダイアン・クルーガー、2009年8月紹介『パイレー
ツロック』などのジャニュアリー・ジョーンズ、昨年の東京
国際映画祭<コンペティション部門>『サラの鍵』に出演の
エイダン・クイン、2005年5月紹介『ヒトラー』などのブル
ーノ・ガンツ、2009年1月紹介『フロスト×ニクソン』など
のフランク・ランジェラ。
監督は、2009年9月紹介『エスター』などのジャウム・コレ
ット=セラ。
また、フランスの作家ディディエ・ヴァン・コーヴラールの
原作に基づく脚色は、1995年に“Dr.Jekyll and Ms.Hyde”
という作品に参加しているオリヴァ・ブッチャーと、1993年
にSF映画の続編“Philadelphia Experiment U”を監督し
ているスティーヴン・コーンウェル。本作は、新たにコンビ
を組んだ2人の第1作だそうだ。
製作は、ヒットメーカーのジョール・シルヴァ。シルヴァが
ジャンル映画用に設立したダーク・キャッスル社の作品で、
正にエンターテインメント満載といった感じの作品だ。
なお、本作の製作にはドイツのバベルスバーグ・スタジオが
参加しており、映画の巻頭には配給元のワーナー、ダーク・
キャッスルに続けて、同スタジオのタイトルが登場する。そ
のシンボルマークがファンには嬉しくなるものだった。

『ドリーム・ホーム』“維多利亞壹號”
2004年11月6日付「東京国際映画祭」で紹介した『ビヨンド
・アワ・ケン』のパン・ホーチョン監督による最新作。昨年
のシッチェス・ファンタスティック映画祭では主演女優賞な
ど3冠に輝いたスプラッター作品。
原題は「ヴィクトリア1号」と読むようだが、香港に建つ高
層マンションで起きた猟奇殺人事件を題材にした作品。因に
映画の巻頭では、「実際の事件に基づく」とのタイトルが掲
げられていた。
ある夜の事、そのマンションに現れた人物が残虐な殺戮を繰
り広げる。その執拗な犯行の様子と、そこから10数年を遡る
香港の住宅事情が描かれて行く。そこに描かれるのは、不動
産バブルの中、強制地上げで住居を追われる人々や年収の上
昇を上回る地価の高騰など…
そんな中で暮らす1人の少女。彼女には元は海で生計を立て
ていたらしい祖父や、糸電話で会話を交わす幼馴染みなどが
いたが、幼馴染みは地上げで住いを追い出され、建設現場で

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04月17日(日)
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