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On the Production
by 井口健二
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■ユキとニナ、フォース・カインド、サロゲート、パレード、Dr.パルナサスの鏡、抱擁のかけら、作戦、バニッシング・ポイント
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『ユキとニナ』“Yuki & Nina”
2007年3月に紹介した『不完全なふたり』や、06年12月紹介
の『パリ、ジュテーム』の一編を監督している諏訪敦彦監督
が、『不完全…』の製作時に知り合ったという俳優イポリッ
ト・ジラルドとの共同監督で制作した作品。因にジラルドは
初監督だそうだ。
パリに暮らす母親が日本人で父親がフランス人という少女ユ
キが、両親の離婚と母親に同行しての日本への帰国という岐
路に立たされ、それでも前に進んで行く姿を、ちょっとファ
ンタスティックな描写も含めて描いている。
ユキにはニナという両親が離婚して母親と2人暮らしの親友
がいる。だからユキとニナは、両親の離別によって傷つく子
供の気持ちをユキの両親に伝えたいのだが、なかなか上手く
は行かない。そしてユキとニナはあることを決断する。
大人の事情が子供に伝わらないのは大人として考えなければ
行けないことだし、子供の事情が大人に伝わらないのも、大
人として注意しなければならないことではあるが、これもあ
る意味仕方のないことでもあるのだろう。
そんなごくありふれた物語が、少女の視点という特別な形で
捉えられている。ただしそれは、2人の大人の監督によって
作られた作品ではあるが、予めシナリオを用意しない諏訪監
督の手法によって、主演の少女自身が見事に表現している感
じもするものだ。
その主人公ユキを演じているノエ・サンピは、1999年生れ、
実際に日本人とフランス人の両親の間に生まれた子供で、今
までに演技経験はないそうだが、明らかにフランス人とは異
なる顔立ち、しかも日本人にもちょっと神秘的に見える風貌
は見事な配役だ。
対するニナ役は、相手が演技未経験ということで演技経験の
ある子役が選ばれているが、こちらも1999年生れで主演は初
めて、しかしはきはきした物言いでは、物静かなユキの相手
役をよくこなしている。
さらにユキの父親役はジラルド監督自身、母親役はクレジッ
トにはTsuyuと記載されていたが、1996年モニカ・ベルッチ
とヴァンサン・カッセルが共演した『アパートメント』や、
2000年『TAXi 2』にも出ていたフランス在住の女優さんだそ
うだ。

『フォース・カインド』“The Fourth Kind”
試写会で配布されたほとんど情報のないプレス資料の注意書
きに、「本作は“驚愕の超常ドキュメンタリー”」と記され
ていた作品。
映画の中の説明によると、アラスカ州の最北の都市ノームで
は、他の地域に比べて異常に多い行方不明者がおり、誘拐事
件などを扱うFBI捜査官の来訪数も群を抜いているのだそ
うだ。
そしてその地域で、これも異常に多いとされる不眠症患者の
調査に当っていた心理学者夫妻の夫が異常な死を遂げ、その
夫の調査を引き継ごうとした妻の周囲で発生する異常な事件
が描かれて行く。
作品では、最初に女優ミラ・ジョヴォヴィッチが本人として
登場し、今から自分が心理学者に扮して事件の再現を行うと
説明、こうして製作された再現フィルムと、心理学者が調査
のために撮影したとされるヴィデオ映像が、マルチ画面など
を使って提示される。
それは調査ヴィデオに撮影された異常な現象と、その異常現
象の発生の際の周囲の状況などが再現映像によって説明され
ていく構成となっているが、そのどちらもが迫真の映像で描
かれているものだ。
といったところで、この題名を観たときにスティーヴン・ス
ピルバーグ監督の『未知との遭遇』(Close Encounters of
the Third Kind)を思い浮かべる人がどのくらい居るか気に
なった。
この情報は、本作がドキュメンタリーであるかどうかには言
及していないから、公開してもいいものと思うが、おそらく
アメリカの観客は、スピルバーグ作品を気にして観に行くも

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11月15日(日)
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