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On the Production
by 井口健二
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■Movies−High 7
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※このページでは、毎年招待を受けているNWC(ニュー※
※シネマワークショップ)の新作発表会に今回も出席させ※
※てもらったので、その感想を述べさせていただきます。※
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今回のMovies−High 7では、12月29日に紹介し
た『棚の隅』が特別プログラムとして完成披露上映された。
また、発表会では前回から始まったアクタークラスの作品も
3作品が上映されたが、今回は時間の関係で、クリエイター
のAプログラムと、アクター富樫クラスの作品、それにクリ
エイターBプログラムの3番組を見させてもらった。
以下、見させてもらった順番に感想を述べさせていただきま
す。
<クリエイターAプログラム>
『ドラッグストアへようこそ』
ドラッグストアでアルバイトを始めた主人公。そこには万引
きを捕まえることに執念を燃やす先輩がいて…
モニタを見ていた先輩が、怪しい動きを見つけると出動して
行く。そのパターンの繰り返しだが、そこには一定の様式が
ある。しかもその行動様式や、万引きの手口も徐々にエスカ
レートして行く。そして最後は室内劇から突然に野外に展開
するなど、その構成も良くできていた。面白いし、短編映画
としても、纏まりのある作品に感じられた。
『でーと』
ある女性がデートに出かけるまでを描いた作品。
最初の暗転から始まり、そこから洗面や化粧など女性の外出
までの行動が描かれるが、何か全体に普通ではない雰囲気が
ある。それは、本当に微妙なもので、その理由が判った瞬間
に、何とも言えない感覚に襲われた。どういう状況でこの作
品を作るに至ったのかは判らないが、作り手の強い意志が感
じられる作品だった。決して興味本位で扱ってはいけない内
容だが、この作品にはそこへの理解も感じられた。特に、真
相が判る瞬間が、ある種の感動に繋がっていたのは見事と言
える。
『LOST』
バーチャル・リアリティを応用した老人の終末介護を描いた
近未来SFストーリー。
主人公の母親は死期が迫っている。主人公と母親にはいろい
ろ確執があったようだが、その最後の時を迎えて、主人公は
母親の知覚しているバーチャル世界にアクセスする。という
物語のようだが、15分の上映時間でそれを全部説明するのは
かなり無理があったようだ。映像も凝っていて感覚で見せよ
うという意欲は判るが、やはり物語を語り切れていない感じ
がした。このテーマを核にして、もっと大きな作品を構築し
てもらいたいとも思った。
なお、前の作品が暗転で終わり、この作品が暗転から始まっ
た。NCWの名前が出て切れ目は判るものだが、プログラム
の構成上、この繋ぎはちょっと不適切のように感じられた。
『蹉跌』
小さなカウンターバーを舞台に、劇団を辞めた役者と、その
劇団のリーダーとが対峙する。その双方の言い分が激突する
会話劇。
お互いに理想論をぶつけあったり、現実論をぶつけたり、23
分の比較的長めの作品にはそれなりの迫力も感じられた。監
督には実体験としてこれに似たことがあったのかも知れない
し、あるいはこれに似たことを見聞きした経験があるのかも
しれない。そんな現実的な物語を、わざと演劇調にしている
面白さも感じられた。出来たら一度生の舞台にして、そこで
脚本を練り上げると、さらに上の作品になって行く、そんな
ことも考えた。これだけで長編が描き切れたら見事だろう。
『風船天国』
何事にも奥手というか、優柔不断な主人公が、駄菓子屋の娘
に恋をして、一念発起の行動に出る。
全体的にそつなくまとめらている感じで、それはそれで良い
のだが、何となく印象に残るものがなかった感じだ。実際、
鑑賞から1カ月ほど経ってこの記事を書いているが、最後の
風船を飛ばすシーン以外に、あまり思い出せるものがない。
それも、普通に膨らした風船は飛ばないはず、と思った記憶
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01月10日(水)
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