ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460434hit]
■東京国際映画祭(後)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、東京国際映画祭の上映映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
(コンペティション部門)
『恋人』(中国)“天上的恋人”
中国南部の山岳地帯を舞台にした恋愛映画。
大きな赤いバルーンが飛来し、それに驚いた老人が銃を暴発
させて失明してしまう。そしてたまたまそこに居合わせたヒ
ロインが犯人呼ばわりされるが、彼女は口が利けないために
言い訳ができない。
ところが老人の息子は村人の意見は意に解さず、彼女を妹と
して家に引き入れる。実は彼は耳が聞こえず、こうして目の
見えない老人と、口の聞けない女性と、耳の聞こえない男性
という奇妙な一家の生活が始まる。
と書くと、かなり不思議な物語に聞こえるが、物語自体は、
これに村の人気者の女性と、ちょっと不埒な青年医者が絡ん
で、どちらかというと真っ当な恋愛ドラマが展開する。
それにしても、中国の山岳地帯というのは、以前に『山の郵
便配達』という作品もあったが、その風景だけで何か心洗わ
れるような雰囲気があり、それを見ているだけで充分という
感じがする。
そんな風景の中での素朴な恋愛ドラマ。殺伐とした不況日本
に暮らすものにとっては、憧れ以外の何物でもない。
『荒野の絆』(アメリカ)“Skins”
第11回の東京国際映画祭に『スモーク・シグナル』が出品さ
れたクリス・エア監督の第2作。今回も前作と同様、現代に
生きるインディアンの生活を扱った物語だ。
主人公は2人兄弟の弟。兄はヴェトナム戦争に従軍し、帰国
後は酒浸りの生活になっている。しかし酒浸りは兄だけでな
く、インディアンに共通する問題のようだ。そして弟は、警
官で、兄の様子を心配しながらの勤務を続けている。
そんなある日、一人の酔っ払いが暴漢に襲われて死亡、その
犯人を追った弟は岩に躓き頭を打つ。しかしその時から、彼
の中で何かが変る。そして偶然犯人を見つけた彼は、犯人を
襲い、彼らが自首せざるを得ないようにしてしまう。
さらに、テレビの報道で酒屋が悪いと知った彼は、酒屋に放
火。ところがその酒屋に盗みに入ろうとしていた兄が大火傷
を負ってしまう。火傷自体は何とか治療されるが、同時に長
年の酒浸りの生活が、兄の余命をほとんど奪っていることを
知らされる。
岩に宿った精霊が彼に犯行を重ねさせているのかどうかは、
実は映画の中では明らかにされていないのだが、まあそう考
えると一番話の辻褄は合う感じがした。
社会の底辺に暮らす人々のこのような生活は、インディアン
に限られるものではないと思うが、インディアンに保護が行
き届いていないのは事実のようだ。
なお、今回監督は来日しなかったが、第11回の時のティーチ
インで「自分はインディアンと呼ばれるのが一番しっくりく
る」と発言していたので、この記事でもインディアンという
表記を使った。
『ブロークン・ウィング』(イスラエル)
“Knafaim Shburot”
イスラエルのハイファを舞台にした家族再生ドラマ。
主人公は17歳で男女の双子の片割れの女性。兄弟は他に幼い
弟と妹がおり、父親はなく母親は助産婦として働いているが、
生活は豊かではない。双子の男子は登校拒否で閉じ込もりに
近い状態になって、いつもネズミの着ぐるみを着て生活して
いる。
[5]続きを読む
11月04日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る