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On the Production
by 井口健二
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■なんちゃって家族、ウォルト・ディズニーの約束、大捜査の女/ジ・エレクション、ゲームセンターCX、ホビット2、ゲノムハザード
だというその韓国人女性と事件の解明に乗り出す。
だが、解明をするにも石神自身の記憶が極めた曖昧だという
事実に突き当たる。その一方で石神の口からはデザイナーが
知るはずのない特殊な医薬品の名前などが飛び出してくる。
果たして石神は何者か? そして事件の真相は…
出演は、2011年10月紹介『カット』などの西島秀俊、2004年
10月紹介『誰にでも秘密がある』などのキム・ヒョンジン。
さらに2006年4月紹介『ゆれる』などの真木よう子、2012年
1月紹介『マイウェイ』などの浜田学、2009年11月紹介『パ
レード』などの中村ゆり、Eテレ「ハングル講座」でMCを
務めるパク・トンハ。それに伊武雅刀らが脇を固めている。
題名から判るように物語は先端科学を背景に置いたもので、
その意味ではSFの範疇に入る作品と言える。しかし一方で
原作はミステリーの賞を受賞した作品であり、物語はSFの
興味よりは謎解きが主眼となっているものだ。
で、まあ以下はそこに対する論評というか注文になってしま
うのだが…。この映画を観ていて、少なくとも最初の部分で
は主人公である石神に対する思い入れが、途中で全く消えて
しまうのが、衝撃というか恐ろしく感じられた。
SFファンの立場で言うと、本作のテーマは『アルジャーノ
ンに花束を』に通じるものだと思う。従ってその中での主人
公の精神的な葛藤は、ちゃんと描けば素晴らしい物語になる
はずのものだ。
しかし本作ではそのテーマは謎解きの道具立ての1つでしか
なく、当然その状況になっても主人公には葛藤などもなく、
ただ運命として受け入れられてしまう。それがSFファンと
しては物足りなく感じられた。
しかし作品の成立から見ればそれは致し方ないものであり、
まあSF作家が先にこのアイデアに思い至らなかったことを
残念とするしかない。
公開は1月24日から、東京はTOHOシネマズ六本木の他、全国
ロードショウとなる。

12月22日(日)
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