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On the Production
by 井口健二
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■怪特探、サイレントヒル・リベレーション、フッテージ、アンチヴァイラル、ファインド・アウト、俺俺、私のオオカミ少年、SHORT PEACE
でもまあ、観客はそんなことにはお構いなしの層を狙ったも
のだろうし、最近のハリウッドのヤングアダルト向けもこの
程度の感じで作られているのが現状のところだ。従って大人
の目で冷静に観られるものではないが、若い人たちに充分と
しておきたいものだ。
ただ、結末がこれというのには、多少悩んでしまうところも
あったが。
出演は、200911月紹介『霜花店』などのソン・ジュンギと、
2008年『過速スキャンダル』などのパク・ボヨン。脚本と監
督は韓国映画アカデミーでの卒業制作がカンヌ国際映画祭や
ロッテルダム国際映画祭に正式招待されたというチョ・ソン
ヒ。本作はその劇場用第1作となる。
昨年7月に『凍える牙』の紹介をした時に、韓国が舞台だと
狼犬も納得できると書いたが、狼人間をテーマにした作品は
韓国映画で初だそうだ。ただその描き方が、本作では最近の
ハリウッドの傾向をもろに受けているようで、やはりもう少
し韓国映画らしさが欲しい感じはした。
『SHORT PEACE』
2007年1月に実写作品の『蟲師』を紹介している大友克洋監
督が、2004年『スチームボーイ』以来のアニメーションを手
掛けた作品。作品は4話+オープニングからなるオムニバス
で、大友監督はその内の1作品を担当。また他の1作品の原
作を提供している。
オープニングに続く最初の作品は『九十九』。2005年『カク
レンボ』という作品で東京アニメアワード公募作品一般部門
の優秀作品賞などを受賞した森田修平監督作品で、18世紀を
時代背景として、嵐の夜に朽ちかけた祠に雨宿りした男が遭
遇する奇妙な出来事が描かれる。
この作品には直接的に大友は関係していないようだが、内容
には上記の『蟲師』に通じるところもあり、奇妙だが心温ま
る物語が展開されていた。
2本目は大友克洋脚本・監督による『火要鎮』。この作品も
18世紀が背景で、商家の息子だったが江戸の町火消になって
勘当された男と、彼に想いを寄せる隣家の娘の儚い物語が、
大火事に立ち向かう町火消の活躍のスペクタクルと共に描か
れる。
なお上記の2作品は、2012年アヌシー国際アニメーション映
画祭にノミネートされ、後者は第16回文化庁メディア芸術祭
の大賞を受賞している。また資料の紹介は逆だったが、上映
はこの順で行われた。
3本目の『GAMBO』は、『スチームボーイ』などのCGI監
督を務めた安藤裕章原案・脚本・監督による作品で、舞台は
16世紀末の東北(最上領)。突然天空から落下した物体と、
戦国の武将、村の娘、それに白熊などの絡むアクションドラ
マが繰り広げられる。
そして4本目は、大友原作による『武器よさらば』。近未来
の荒廃した東京・新宿南口の界隈を舞台に、人工大地に覆わ
れたJR駅に放置された究極の武器を巡って、それを奪取せ
んとする兵士たちと、保安用に配備されたロボット兵器との
壮絶な戦いが描かれる。
舞台になっている新宿の西口と南口は、自分が長年生活して
いた場所で、それなりに土地勘もあるので、その点でも親し
みが湧いて楽しめる作品だった。脚本と監督は、メカデザイ
ナーのカトキハジメが担当。
4本の物語に関連性がある訳ではないし、時代背景などもバ
ラバラだが、全体的なムードには共通する感覚が有り、正に
大友克洋が帰ってきたという感じの作品集だった。これから
も頑張って欲しいものだ。
04月10日(水)
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