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On the Production
by 井口健二
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■スケッチ・オブ・ミヤーク、推理作家ポー、くろねこルーシー、火祭り、カハーニー、シャドー・チェイサー、みんなで一緒に、菖蒲、大奥2
その青年には恋人がいたが、次の日、主人公は青年に声を掛
け、恋人に対する彼の不満などを聞いてしまう。こうして青
年と付き合い始めた主人公は、彼の中に自分の失った生命の
輝きを見い出すが…
ドラマのクライマックスの撮影の時、女優はそのシーンに自
らの体験を重ね合わせて動揺し、現場を逃げ出してしまう。
ドラマにも主演したクリスティナ・ヤングは、夫でワイダの
長年の撮影監督でもあったエドヴァルト・クウォシンスキを
病で亡くしたばかりで、映画はそんな女優の心情も反映した
作品になっている。
そしてドラマには、原作には描かれていないワイダには永遠
のテーマである別の死の物語なども織り込んで、死とそこに
残されたものの姿を描き切っている。
主演のヤングは、ワイダ監督の『大理石の男』『鉄の男』な
どにも出演。青年役のパヴェウ・シャイダはニューヨークの
舞台にも立つポーランド系アメリカ人。主人公の夫役のヤン
・エングレルトは、ワイダ監督の『地下水道』や『カティン
の森』などにも出演している。
また本作の撮影監督は、今年1月紹介『おとなのけんか』や
2011年7月紹介『ゴーストライター』などロマン・ポランス
キ監督作品も手掛けるパヴェウ・エデルマンが担当した。
かなり凝った構成の作品だが、映画を観ているときは解り易
く。さすが名匠の作品という感じだった。

『大奥〜永遠〜』
2010年9月紹介『大奥』でスタートしたよしながふみ原作・
シリーズの第2作。前作は八代将軍吉宗の時代を描いたが、
今回は五代将軍綱吉の時代。ただし本作の公開前にテレビで
三代将軍家光の時代を描いた作品も放送されるようだ。
そして本作の物語は、男女逆転=女将軍に仕える大奥3000人
の男たちが織り成す。そこに今回登場するのは、京都の公家
出身の右衛門佐。彼は御台所・信平の指金で大奥に来るのだ
が、その時の大奥は綱吉の父である桂昌院と御台所の対立に
揺れていた。
というのも、綱吉と正室である御台所の間には子がなく、桂
昌院の側近の伝兵衛が世継ぎとなる松姫を設けていた。そこ
で右衛門佐には新たな世継ぎの必要も説かれていたが…。や
がて松姫が病死し、綱吉の乱心のによる悪政が開始される。
そしてその陰で、右衛門佐は虎視眈々と自らの地位を向上さ
せる機会を狙っていた。
綱吉は犬公方とも呼ばれる「生類憐みの令」などの悪政で有
名だが、その原因や本人の心情などが描かれる。それは勿論
男女逆転の設定なので史実とは異なったものになるが、本作
ではそこに見事なフィクションが展開されるものだ。
いやあ、それにしても男女逆転という発想だけでここまで物
語がドラマティックになるとは、このアイデアにますます脱
帽したくなる作品だった。
出演は、菅野美穂、堺雅人。他に尾野真千子、西田敏行、要
潤、宮藤官九郎、柄本佑らが脇を固めている。
監督は前作『大奥』も手掛けた金子文紀。監督はテレビ版の
『大奥〜誕生〜』も担当している。そして脚本は、昨年12月
紹介『ウタヒメ』などの神山由美子が担当。神山もテレビ版
を担当している。
なおテレビ版の出演は多部未華子。そして相手役には堺雅人
が続けて出演する。因に堺の役柄は原作にも瓜二つと書かれ
ているそうで、性格的には正反対とされる2役を堺は演じて
いるようだ。

09月02日(日)
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