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On the Production
by 井口健二
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■アンノウン、ドリーム・ホーム、狂乱の大地、Peace、アベック・パンチ、レッド・バロン、ファースター、薔薇とサムライ
殺害を依頼。こうして犯人と刑事、それに殺し屋の三つ巴の
闘いが開始される。
共演は、刑事役に2002年6月紹介『チョコレート』などのビ
リー・ボブ・ソーントン、殺し屋役は昨年8月紹介『遠距離
恋愛』に出ていたというオリヴァ・ジャクスン=コーエン。
他に、トム・ベレンジャー、カーラ・グギノ、2009年6月紹
介『96時間』で主人公の娘を演じていたマギー・グレース
らが脇を固めている。
脚本は、2002年『完全犯罪クラブ』などのトニー・ゲイトン
と、1996年『ダーティ・ボーイズ』などのジョー・ゲイトン
の兄弟。兄弟の共同脚本は初めてのようだが、2人は製作と
製作総指揮も担当している。
監督は、2000年『ザ・ダイバー』の監督の他、2002年のヒッ
ト作『バーバーショップ』などの製作も務めたジョージ・テ
ィルマンJr.
上映時間が98分と短いせいもあるかも知れないが、とにかく
展開が早い。何しろ映画が始まって数分もしない内に最初の
殺人という感じだ。その後は回想シーンなども挟まるが、警
察側の動きなども含めてテンポ良く話が進んで行く。
ただ難を言えば、緩急のアクセントにもなる殺し屋側の話が
ちょっと弱かったかな。多分、脚本ではもっと書き込んであ
るのだろうが、上映時間の関係でこうなってしまったのか。
できればその辺を、もう少ししっかり描いて欲しかった感じ
がした。

『薔薇とサムライ』
2009年12月紹介『蜉蝣峠』、昨年8月紹介『蛮幽記』に続く
ゲキ×シネで、劇団☆新感線による舞台を撮影した作品。
物語の舞台は、17世紀のヨーロッパ。イベリア半島の小国を
根城にする女海賊とその用心棒のサムライが、小国の運命を
左右する政争に巻き込まれる。
そのサムライの名前は石川五右衛門。ゲキ×シネでは2009年
『五右衛門ロック』という作品があるが、その続編という位
置付けなのかな。いずれにしても人気キャラクターの再登場
という作品のようだ。因に劇中では、「侍ではなく盗人だ」
と繰り返し訴えていた。
そしてその五右衛門の仕えていた女海賊が、実は小国の王女
だったことが判り、王座に就いた女海賊は、列強との歩調を
合わせるため海賊討伐をしなければならなくなる。それは五
右衛門との戦いも意味していた…という展開になって行く。
これに、五右衛門の首を取って日本に帰りたいと願っている
浪人や隣国の王子、さらに女海賊の宿敵、小国を牛耳る宰相
一家、王家復活を画策する取り巻きなども絡んで、剣戟シー
ンもたっぷりの波乱万丈冒険物語が繰り広げられる。
主な出演者は、古田新太、天海祐希、浦井健治、山本太郎、
神田沙也加、森奈みはる、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこ
と、藤木孝。
古田は当り役の五右衛門を生き生きと演じているし、劇団に
は2度目の参加という天海は宝塚さながらの凛々しい女海賊
を実に楽しげに演じている。その他客演の浦井、山本、神田
らも実に伸び伸びと演じている感じなのが、観ていても楽し
くなる作品だ。
また舞台装置では、背景に大型のLED装置が設置され、そ
こにアニメーションや背景画像が表示されるが、特に海賊船
が航行するシーンでは、前景の船首のセットの回転に合わせ
て動く背景の表示が見事で、これは舞台でも観たくなるもの
だった。
脚本は中島かずき、演出は「いのうえひでのり」。仕込がた
っぷりの物語と外連で一杯の演出は、普段見慣れている映画
とはまた違った舞台の面白さという感じで、ゲキ×シネとい
う上映形態にピッタリの作品と言えそうだ。

04月17日(日)
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