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On the Production
by 井口健二
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■蜂蜜、処刑剣、愛の勝利を、プッチーニの愛人、マイ・バック・ページ、4月の涙、黄色い星の子供たち+ニュース
ものだ。
そして本作は、強制収容所に移送された後に、脱走に成功し
て生き延びたという当時11歳だった少年の証言に基づいて描
かれたものだが、その死と紙一重の恐怖に満ちた物語は、そ
れまでは天真爛漫だった子供たちの姿によって見事に際立た
されている。
またそこには、彼の証言だけでなく数多くの調査や取材で得
られたエピソードも描かれている。それはヴェル・ディヴ内
の救護所に勤務した非ユダヤ人看護婦の話や、競輪場から脱
出に成功したユダヤ人女性の話などもあるが、それらも全て
実話だとのことだ。
出演は、昨年2月紹介『オーケストラ!』などのメラニー・
ロラン、ジャン・レノ、それに2007年7月紹介『エディット
・ピアフ』などのシルヴィー・テステュ。
また、主人公の少年を演じたユーゴ・ルヴェルデは、撮影時
は実際に11歳だったが、撮影現場を訪れた証言者の男性に、
「あなたが僕にがっかりしないようにしたいです」と語って
感激させたそうだ。
脚本と監督は、元ジャーナリストのローズ・ボッシュ。数年
前にこの事実を知り、本格的に準備を始めてからは3年間を
費やしたというボッシュの執念が、この見事な作品を作り上
げている。
そして描かれた本作は、フィクションを原作にした『サラの
鍵』ほどドラマティックではないものの、真実の重みが間違
いなく感じられる作品になっていた。

先週試写会が中止された作品の中で、『処刑剣』と『愛の勝
利を』は今週試写が再開され、内容的には問題なく公開も予
定通り行われるようだ。
しかし、ぎりぎりで試写を観られた『世界侵略:ロサンゼル
ス決戦』は、内容に鑑みて公開が10月に延期されるとの通知
が映画会社から届いている。また、2月27日紹介の『サンク
タム』も内容の一部が好ましくないとの判断で公開延期の連
絡が届いている。この他、来々週に紹介予定のリーアム・ニ
ースン主演作品は邦題が変更になるようだ。
他にも、僕に連絡が来ていない作品もあるかも知れないが、
昨年12月紹介『唐山大地震』と11月紹介『ヒアアフター』の
中止は仕方ないにしても、くれぐれも過剰反応にならないこ
とだけはお願いしたい。
        *         *
 なお製作ニュースでは、“The Hobbit”の撮影がニュージ
ーランドで開始されている。彼の地も地震の影響で撮影開始
は静かに行われたようだが、3Dでの撮影はこれから14カ月
に渡って行われるそうだ。

03月27日(日)
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