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On the Production
by 井口健二
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■黒く濁る村、キック★アス、酔いがさめたらうちに帰ろう、ソフィアの夜明け、乱暴者の世界、とびだす絵本+製作ニュース
とは言うものの2D−3D変換では、今年の春と夏に公開
された3D変換によるアクション作品の評価が芳しくなく、
一部にはそれに続くこと断念した作品も現れたものだが、今
回監修に当るILMは、『アバター』の3D製作にも参加し
ており、その監修というのは信用が置けそうだ。
それに3D化を、オリジナルの公開順ではなくエピソード
順に行うと言うことは、“The Phantom Menace”以降では製
作にCGIも多用されて、その部分はデータに基づく3D化
も行えるものと考えられるし、それを活かして『エピソード
IV〜VI』の3D化にも万全を期してもらいたいものだ。
なお5年前の報告では、Topps社の3Diカードについても触
れたが、その際にも紹介した“The Empire Strikes Back”
の3Diカードもようやく発行されたようで、映画シリーズの
3D化にも期待が高まるところだ。それにしても5年前の記
事を書いたときには、今のように3Dが受け入れられること
になるとは、思いも拠らなかったものだが。
* *
お次は、1951年にイギリスの作家ジョン・ウィンダムが発
表、同国で最も権威があると言われるペンギンブックスに、
古典以外で初めて収録されたSF小説とされる“The Day of
the Triffids”、その1962年にも一度映画化されている作品
が、2009年に同作のBBCミニシリーズ版を手掛けたマイク
ル・プレイガと、『トランスフォーマー』などのドン・マー
フィの共同製作で3D映画化されることになった。
三股に分かれた丈夫な根を動かし歩行もできるトリフィド
と呼ばれる植物が育てられている時代のお話。ある出来事に
よって人類のほぼ全員が失明する事態が発生する。そんな中
で偶然失明を免れた主人公は、他にもいた目の見える人たち
と共に人類の救済に乗り出すのだが…。そこに、実は肉食種
だったトリフィドが脅威となって現れる。
原作は、米ソの冷戦時代の中で書かれたもので、物語には
その影響も見られるとされるが、イギリスの作家らしい落ち
着いた展開で人類文明の崩壊が描かれている。そして主人公
には、自らの人間性と人類文明を守るためのいろいろな選択
が課せられて行くことになるものだ。
その作品は上記のように1962年にも一度映画化されている
が、『人類SOS』の邦題で日本公開もされたその作品は、
一部に熱狂的なファンもいるとされるが、多くのSFファン
には結末の描き方などで納得できないものだった。そしてそ
こには当然、上記した主人公への課題などもほとんど描かれ
てはいなかった。
その作品が今回はリメイクされるものだが、発表に当って
製作者のマーフィは、「原作は、その人間性の追求において
現代にも通じる心を打つ物語であり、現代においても映画化
すれば成功間違いなしの作品だ」との発言も行っており、今
度こそ原作の完全映画化が期待できそうだ。
因にマーフィは、1994年オリヴァ・ストーン監督の『ナチ
ュラル・ボーン・キラーズ』や、1998年の東京国際映画祭で
ブラッド・レンフロが主演男優賞を受賞した『ゴールデン・
ボーイ』などの製作も手掛けており、社会派的な作品にも手
腕を発揮する製作者と言える。
しかも今回は、CGIを多用した3Dでの映画化を行うも
ので、以前の作品では特にトリフィドの造形が面白くなかっ
たり、トリフィドが人間を仕留める際の動きなども物足りな
かった不満も解消されそうだ。
製作時期などは未発表だが、期待して待つことにしたい。
10月03日(日)
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