ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460254hit]

■ユキとニナ、フォース・カインド、サロゲート、パレード、Dr.パルナサスの鏡、抱擁のかけら、作戦、バニッシング・ポイント
の出演作品ではあるし、取り敢えずはファンの人には嬉しい
贈り物というところだろう。
なお本作は11月21日開催される「韓流シネマフェスティバル
2009」で特別上映され、その後の来年1月に日本公開も予定
されている。

『バニッシング・ポイント』“Vanishing Point”
1971年公開、その一見不条理とも言える展開で、『イージー
・ライダー』などに続くアメリカン・ニューシネマの70年代
を代表する1本とも呼ばれた作品。その作品が、当時日本公
開されたUS版より7分長いUK版でHDリマスタリングさ
れ、DVD発売されるのを記念した試写会が行われた。
コロラド州デンヴァーからカリフォルニア州サンフランシス
コまでを15時間で走り切ろうとする男。その爆走を威信に賭
けて止めようとする各州の地元警察。そして、その男の行動
に反体制の匂いを嗅ぎ放送を通じて支援する盲目のDJ。
そんな1人の男の行動が巻き起こす、当時のアメリカの国情
も反映した様々な出来事が、オール現地ロケーションによる
鮮烈な映像と強烈なロックミュージックで綴られる。
僕は、日本公開当時に確か昭和通りにあったビルの試写室で
観せて貰ったが、正直に言って当時は意味がよく判らず、そ
れでもある種の不条理劇と理解して評価をしていたものだ。
その評価は、今回のプレス資料の中にも不条理という言葉が
見えるから、恐らく一般的にもそうだったのだろう。
そんな作品を今観直してみると、確かに男の行動にはその理
由などは明確にされないが、それでも男の行動には不条理で
はない何かを感じてしまう。それは何と言うか、世間も不条
理になった今の状況だから理解できるものかも知れず、ある
意味世間がこの作品に追い付いたとも言えそうだ。
脚本はキューバ出身の作家でもあったギレルモ・カブレラ・
インファンテ。監督はテレビで『アイ・スパイ』などを手掛
け、後に『クライシス2050』などという珍品も撮る(公開は
アラン・スミシー名義)、リチャード・C・サラフィアン。
出演は、主人公を演じるバリー・ニューマンの他に、『頭上
の敵機』で1949年のオスカー助演賞を受賞したディー・ジャ
ガーらが共演している。
さらに今回のDVD化はUK版とのことで、当時のUS版で
カットされたシャーロット・ランプリングの登場シーンが復
活されている。ただし、このシーンは物語をさらに不条理な
ものにしてしまいそうだ。
なお、映画の後半に出てくる地図で大写しになる地名が昔観
たときは謎だったが、今回は哀愁に感じられた。

11月15日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る